みどりの情報特版 No15-0

みどりの情報特版 No15-01

         2015年12月8日  環境ジャーナリスト  青木泰

皆様お元気ですか。夜はめっきりと冷え本年残すところわずかになりました。
今年も年初は「引き裂かれた絆―がれきトリック、環境省との攻防1000日」(鹿砦社刊)を上梓し、タチアナさんを再度お迎えした「チェルノブイリ原発事故後27年のウクライナから」(「食品と暮らしの基金」<小若順一代表>主催)のお手伝い、鮫川村の仮処分裁判、復興資金流用化問題の全国連携活動など走り回ってきました。

すでに震災から4年経過し、NPOごみ問題5市連絡会や「生ごみ資源化100%を目指すプロジェクト」の本来の活動も手掛け始めました。
東村山市の住宅街に設置した除湿型生ごみ乾燥装置の紹介や久喜・宮代衛生組合におけるHMD方式の生ごみ処理やアースクリーンの生ごみのディスポ―ザ処理&下水処理など今年になってからは、その都度課題、テーマごとにご報告させていただいてきました。

みどりの情報特版としてのまとめての報告は、今年最初です。
今回は、1)東京三多摩地区にあるごみの中間処理組合である柳泉園組合での水銀汚染事故の件と、2)復興資金流用問題での会計検査院の報告の件、そして3)脱焼却先進地見学会の報告についてお届けいたします。

なお 久喜・宮代衛生組合とアース・クリーンの見学会の報告「酒の発酵技術よりはるかに簡単!生ごみ発酵分解技術」と鮫川村仮処分裁判―「環境省の犯罪行為を黙認した司法の劣化」(月刊誌「紙の爆弾」11月号掲載)は、青木泰のブログhttp://gomigoshi.at.webry.info/をご覧ください。

1) 水銀汚染問題が私たちに教えたことと今後の課題

柳泉園組合での水銀汚染事故によって、改めて全国の市町村の清掃工場で毎日行われているごみ焼却によって有害汚染物が周辺環境中にどのように放出されているのかという問題を浮き彫りにしました。環境問題に取り組む市民や市民団体として見過ごすことのできない問題です。

日本の環境行政では、ごみの焼却炉における重金属の排ガス規制は、行われていません。(EUでは、重金属の排ガス規制が実施されています。)
その理由としてこれまで国が説明してきたのが、

①そもそも重金属の基になるものは、市町村のごみ焼却炉では焼却されない
②焼却されたとしても、バグフィルターを備えているから99.99%除去できる
というものでした。

放射性物質についても、焼却を「可」として進めてきた環境省の政策の背景には、放射性物質=金属物質とし、重金属の排ガス規制は行わないとする国による誤った「基本」がありました。(したがって放射能汚染問題に注目されている人にとって、今回の水銀問題は、放射性物質と読み替えて見ていただければと思います。)

先にお知らせしましたように今回の水銀問題は「紙の爆弾」12月号(11月7日発売)に「-国際水銀条約批准の建前と実態―都内ごみ清掃工場から周辺住宅地に、水銀有毒ガス放出」という小論で発表しました。

今回、青木ブログ(http://gomigoshi.at.webry.info/201512/article_3.html
に掲載しました。ご覧ください。

先にご報告しましたようにその後柳泉園組合への陳情が採択され、
① 何が原因でこのような事故が起きたのかについて、柳泉園組合で第3者を含む、調査委員会を作成し、原因究明に当たること、
② 周辺土壌調査も行うことになりました。
今後もご注目ください。

一方で、今回の水銀汚染問題は、ごみ焼却が抱える問題を私たちに投げかけてきました。以下A)~D)にまとめます。

A) 水銀汚染測定器を設置することの重要性

  今回、柳泉園組合のごみ焼却炉で水銀汚染事故が起きていることは、水銀汚染計測器を設置していたから分かりました。もし水銀汚染計測器が設置されていなければ、汚染があってもわからなかったのです。 したがって、どこのごみ清掃工場でも水銀汚染計測器を設置することは、急いで取り組む必要があります。
  
  なお東京23区清掃一部事務組合や柳泉園組合では、職員が焼却炉の運転管理を行っています。柳泉園組合では、現在の焼却炉の建設時(2000年<H12>)から、水銀測定器を取り付けていたことが分かりました。 
 当局側も、プラスチックごみを焼却する予定があり、取り付けに応じたものと考えられます。

  ふじみ衛生組合の現在の焼却炉の竣工は2013年ですが、この時には、すでに東京23区での水銀汚染事故(2010年~)が問題となり、
  周辺住民が焼却炉建設の1条件として、設置を求めたということです。このふじみ衛生組合では、容器包装プラスティックのリサイクルには取り組み、その他のプラスティックは、助燃材用として、別回収し、焼却していたと言います。
 
B) プラスチック焼却を行う焼却炉で続発する水銀汚染事故

  東京都区内では、これまでの13件に加え、その後も水銀事故が続き、現在まで17件の水銀事故があったこと、ふじみ衛生組合でも6~7件の事故があったことが分かっています。  いずれも善からぬ事業者による違法な不法投棄によるものとしていますが、共通しているのは、プラスチックごみを焼却していたという点にあります。

  東京23区清掃一部事務組合の各区のごみ焼却施設において、水銀事故(2010年)があった時に私たちは、「水銀汚染検証市民委員会」を作り(2010年秋)、専門家を含む検証の結果、電動式のプラスティック製品(おもちゃや小型家電)が、ごみとして出された時、そこに内蔵されている電池を焼却したことが原因と推測する報告書を発表しました。(注1)
  
これらを合わせて考えた時、プラスチックごみを焼却している清掃工場では、直ちに取り付ける必要があります。

C) 周辺環境だけでなく、清掃工場で働く労働者の安全性

  東京23区清掃一部事務組合や柳泉園組合で、水銀汚染計測器を取り付けたのは、「労働安全衛生法」による規定を守るためであることが分かりました。
特定化学物質障害予防規則では、作業環境基準としてこれまではEUの環境基準と同じ「0.05mg/m3」基準でしたが、今は、倍に厳しくなり「0.025mg/m3」となっています。

  しかし多くのごみ焼却炉で、この計測器がつけられていないのは、運転管理を委託業者に委託しているからなのでしょうか。委託業者は、労働者ではなく、労働安全衛生法の規制対象ではないとでもいうような差別対応です。これについても問題にして行きたいとおもいます。

D) その他の規制基準について
 
 今回の事故について、柳泉園組合では、EUの環境基準の約3倍の水銀汚染、そして今回分かった作業基準の約6倍の汚染が発生し、焼却炉を停止したにもかかわらず、周辺自治会や周辺市への報告が後回しにされ、メディアへの報道も行われませんでした。 

 ごみの焼却を巡って、汚染事故があっても、問題になりそうな事は、報告しないという対応が気になりました。翻って、ダイオキシン類特措法では、放射性物質や重金属と肩を並べる有害物質である、ダイオキシン類の測定が、年1回以上義務付けられています.

清掃工場の焼却炉は、ダイオキシンの発生量を抑えるために800度以上の高温で焼却することが義務付けられていますが、ダイオキシンは焼却炉の燃焼の立ち上げ、たち下げ時の温度帯で、多く発生することが分かっています。

清掃工場の運転実態をみると、柳泉園組合のように複数の焼却炉を設備しているところでは、焼却炉を交互にローテーションで稼働しているところもあります。
その場合、立ち上げ、たち下げが多くなり、その時には高温時の何万倍や何十万倍ものダイオキシンが排出されます。

ところが、清掃工場を運営する自治体では、そのような実態が明らかにならないように、ダイオキシン測定を行うときには、「安定した状態」を狙って測定することが当たり前になっています。

その意味では、ダイオキシンの連続測定(連続採取)によって、焼却によって有害物質が環境中に放出されている実態をつぶさに明らかにすることが必要かと思います。今回柳泉園組合議会に提出され、残念ながら不採択に終わったダイオキシンの連続測定装置の設置を求める陳情は、改めて真剣に論議してほしいものです。

注1:環境総合研究所:http://www.eforum.jp/waste/Mercury-report1.pdf

2) 会計検査院の報告で分かった環境省の復興資金流用の全貌

10月28日に山本太郎参議院議員事務所の要請にこたえて行われた会計検査院の報告の中で、提出された報告書を分析する中で、環境省による復興資金流用の手口の概要を掴むことができました。
月刊誌「紙の爆弾」2016年1月号(12月7日発売)に「山本太郎議員が会計検査院に報告させたー環境省による5000億円超の復興資金流用の実態」として発表しました。皆さまご笑覧いただければ幸いです。

なお「紙の爆弾」が入手できない方は、ご連絡ください。
下記は、報告のあらすじです。

<環境省による「災害廃棄物処理費」流用の全容 >

会計検査院の役割は100兆円にも上る国家予算のチェックにある。不正や間違いがあれば返還させる権限を持ち、調査結果は数千ページにわたる報告書で報告している。
国会は、予算決算委員会で国家予算のチェックを入れることになっているが、会計検査院の調査をこの国会論議に生かすために、調査内容は国会(議員)の求めがあれば報告することが義務付けられている。

10月28日、山本太郎議員が会計検査院に実態解明を求めた問題会計は、環境省が復興資金から1兆数千億円を予算立てした「災害廃棄物(がれき)処理費」を、全国の市町村のごみ清掃工場の焼却炉などの建設費への補助金に流用していた案件である。

今回会計検査院が山本太郎議員に明らかにした報告内容と、この間数年にわたって、市民団体326政府交渉ネットとして筆者らも追及してきた内容を総合的に整理することによって、資金流用の全貌がほぼ明らかになった。驚いたことに流用は、ごみ焼却炉の補助金への流用だけでなく、がれきの処理費用を従来の2~3倍のコストで発注するという方法で事業者に資金を流し、流用していたことが分かった。

一方、会計検査院の検査、調査内容は、どうだったか。その場で提出された報告書は、環境省の報告内容を、チェックなしに報告したような内容であり、会計検査院としての役割を問われる内容だった。後述するように、不正や犯罪事実の情報を提供しているにもかかわらず、その事実に目をつむり、ましてや背景に探りを入れるという点とは程遠い対応だった。再報告書の作成が不可避と見た。

<災害廃棄物処理費の流用化のために過大予算化>
東日本大災害によって、打撃を受けた被災3県の復興を掲げて25兆円の復興資金が計画され、現在まで22兆円が予算化され、環境省が役割を担う災害廃棄物(いわゆるがれき)の処理費用の予算は、当初、1兆700億円と言われていたが、後に加算されて1兆3000億円になっていたことが分かった。

これまでこの災害がれき処理費から、被災地とは関係のない全国の市町村のごみ焼却炉の建設補助金に流用していたことを、私たちは問題にし、すでに復興資金を使って焼却炉を建設した大阪府堺市や富山県高岡地区広域圏事務組合(高岡市、氷見市、小矢部市)の住民が、復興資金の返還を求めて住民訴訟に訴えている。それぞれ86億円、71億円の交付金が流用されていたが、全国の市町村のごみ焼却炉などへの流用は、100件に上り、その合計金額も数百億円に上ることを突き止めて来た。

これらの点は、週刊ポストや「国家のシロアリ」(福場みゆき著作・小学館刊行)などの指摘のほか大手メディアの地方ニュースで報道されてきた。
これに対して、今回分かったことは、災害廃棄物処理費の予算立ての段階で、5000億円以上の過大な水増し予算を立てていた事、そして本来なら5000億円も余剰となる予算を、高いコストのがれき処理費で契約することで、消化していたことが分かった。(以下略)

3)脱焼却―先進事例マイクロバス見学会

見学地①:石坂産業 三富事業所 建設廃材の完全リサイクル工場<午前> 
見学地②:秩父市役所 ディスポ―ザ方式での生ごみの消滅処理システム<午後>
     
集合場所      :西武新宿線―航空公園駅 東口ロータリー
☆一日コース     : 9時15分 集合 出発9時30分
☆午後のみ      :12時45分 集合 出発13時0分
費用:1日3000円、午後のみ2500円。定員20名。先着順。要予約。

順路:航空公園駅→所沢三富の石坂産業(工場見学、今昔村他)→航空公園駅→高速→秩父市役所→農村集落施設(下水施設)→所沢駅(18時30分頃)
 
世界のごみ焼却炉の3分の2がある世界に”冠たる”焼却大国の日本に、今ようやく、脱焼却に向けての先進的な取り組みが開始されつつあります。 
 
過去に建設廃材などの焼却で、所沢のダイオキシン問題をもたらした石坂産業が、社長の交代と共に、資源リサイクル企業への転換を宣言し、焼却しないリサイクル工場を建設したのです。焼却するしかないと思われていた建設廃材が、どの様に処理され、資源化されているか、そして女性社長がどの様な理念で、取り組みつつあるか要必見です。

又生ごみは、これまで様々な資源化の取組がなされて来ました。ところがほとんどの市町村では、燃やされ、最近では、水分の多い生ごみを燃やすために助燃材としてプラスチックごみを焼却する東京23区やふじみ衛生組合のような自治体も出て、水銀汚染問題をおこしています。

しかしこの生ごみの処理でも、ディスポーザで粉砕し下水に流した上で、消滅処理するアースクリーン方式が、秩父市でも取り組まれ13年の実績を持ちます。これは大都市部でもすぐに応用出来る画期的方式であり、幾つかの自治体でも取り入れています。

生ごみを燃やさず、プラスチックごみも燃やさない脱焼却の取組の先進事例を、午前、石坂産業、午後、秩父市で見学します。マイクロバス内では、ディスポーザ方式の開発者小川弘氏の話を聞きながら秩父に向かいます。

主催:生ごみ資源化100%を目指すプロジェクト
共催:NPO法人ごみ問題5市連絡会 090-1541-4601or090-3088-6007

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