生ごみ資源化先進地見学会 埼玉県―久喜・宮代衛生組合&アースクリーン 酒の発酵技術よりはるかに簡単!

生ごみ資源化先進地見学会 埼玉県―久喜・宮代衛生組合&アースクリーン
酒の発酵技術よりはるかに簡単!生ごみ発酵分解処理
     2015年11月6日
生ごみ100%資源化を目指すプロジェクト 青木泰

10月30日、生ごみ資源化処理の先進地、埼玉県久喜・宮代衛生組合のHMD方式による生ごみ処理とさいたま市桜区のアースクリーンの生ごみ処理を見学してきました。今後に向けての実踏見学のつもりでしたが、10人の皆さんと「ワイワイガヤガヤ」と楽しく見学交流会を行ってきました。
ごみの焼却を資源化に転換させるためには、ごみの中の2大処理困難物である生ごみとプラスチックごみの資源化処理が大切です。先にもご紹介しましたように東京都・三多摩地区でごみ問題に取り組んできたごみ問題5市連絡会(注1)では、焼却炉建設反対活動やプラスチックを焼却しないようにする活動を繰り広げ、容リ法によるプラスチックのリサイクルを実現した結果、今後の活動の中心としては、生ごみの資源化においてきました。
家庭から排出されるごみの中からプラスチックごみが取り除かれれば、焼却炉で焼却される大半は、生ごみとなり、生ごみの資源化ができれば、焼却炉で焼却するものは、ほぼ現状の10分の1になります。ごみ焼却炉をなくす大きな手掛かりが見えてきます。
そこで数年間の準備活動の上に、2010年に三多摩地区の多くのごみ問題にかかわる市民団体とともに、「生ごみ資源化100%を目指すプロジェクト」(注2)を結成し、活動を開始したのでした。
A: 久喜・宮代衛生組合のHMD方式による生ごみ資源化
<実践されたHMD方式の概要>
久喜・宮代衛生組合での生ごみ資源化は、久喜市・宮代町内の自治会の内、生ごみ資源化に手を挙げた合計1万所帯の皆さんの内、約半数の5千所帯が参加協力しています。(強制はしていないそうです。)
日量4トン、可燃ごみの収集日(週2回)に、ごみの回収ステーションに、可燃ごみと隣り合わせに生ごみの設置場所を設け、行政収集します。生ごみの袋は、年間2回、1回50枚程度を自治会を通して協力家庭に無料で配布します。
月の回収量が約60トン、年間で800トンになり、このベースで、すでに丸6年になるそうです。
生ごみの処理方式であるHMD方式は、いったって簡単で、5センチぐらいに裁断した木の枝から作ったチップに、微生物を付着させ、これを菌床とし、約2mの高さに積み上げ、その菌床の積み上げた山の中(写真参照)に、毎日排出される生ごみを投入してゆきます。
1トンの生ごみに対して、菌床として準備する量は、約60m3。(リューベ=立法メートル)投入した生ごみは、その日のうちに発酵分解します。毎日4トンですから菌床は、240m3必要になります。30m×40m×2mの容積が必要です。
生ごみを1日で発酵分解するためには、あらかじめ生ごみを破砕し、微生物(菌)による分解をし易くしておくことが必要ですが、生ごみは85~90%が水分であるため、ほぼ重量と同量の水分が発生します。その水分を吸い取って、べとべとにならず、発酵分解ができるようにするためには、大量の菌床が必要になるのです。
そのため、投入する生ごみの処理量が多くなればその大きさに応じた大きさが必要です。
処理施設と言っても、片側が開けっ放しのだだっ広い空間の左側4分の1ぐらいのスペースに破袋と生ごみの粉砕処理を兼ねた装置があり、収集車両で運ばれてきた袋に入った生ごみは、一度処理施設の床に下ろされた後、ブルドーザですくい上げられ、破袋機まで運ばれます。
残りの4分の3は、菌床が置かれ、発酵分解するエリアです。ここで使っている微生物は、従来EMなどの生ごみ処理で使ってきた嫌気性の微生物ではなく、好気性の微生物です。この微生物が働きやすくするため、この発酵分解エリアの床には、空気を送る菅、13本が平行に埋め込まれ、1分当たり8m3の空気が吐き出されています。
袋の破袋と生ごみの粉砕時に排出される水分は、菌床に添加されます。
240m3の菌床は、微生物のすみかであり、いわばほぼ毎日生ごみという餌を与えられ、それを微生物が食べ、分解消化するわけです。
その際、炭酸ガスと水蒸気を発生し、生ごみは93%消滅するそうです。(ちなみに有機物を分解して発生する炭酸ガスは、いわゆる化石燃料由来の炭酸ガス=CO2ではないため、このCO2には換算しません。)
菌床のチップを手に取って臭いをかいでみましたが、腐葉土に近いにおいがし、処理施設の扉を開けっ放しで作業していても周辺に臭気を流さない理由が分かりました。
年に2回は、菌床の一部を運んで篩(ふるい)にかけ、たい肥の部分とチップの部分に分け、回収した堆肥部分を、生ごみの資源回収に協力している家庭に、無償で提供しているそうです。
HMD方式はこのようにして久喜・宮代衛生組合では、実験期間を含めると実施してからすでに7年になり、最初に取り組んだの生ごみたい肥化の方式と比較しても、コストで3分の1で、まったく簡単で環境の上でも素晴らしい方式であることを、今回の見学会を通してもわかりました。
<生ごみの分別収集が資源化の大きなカギ>
午前10時からの見学会の後、説明会場に戻って担当の内田久則課長と高山職員から質疑に答えていただき、13時から近くの食堂に行って交流会を行いました。
交流会では、久喜・宮代衛生組合のダイオキシン問題や生ごみたい肥化施策に当初から取り組まれ、現在は久喜・宮代衛生組合議会の副議長をされている加納好子宮代町議員さんから、HMD導入に至る経過をお聞きし、参加者からの質問に答えていただきました。
久喜・宮代衛生組合での生ごみ資源化への取り組みは、同組合でのダイオキシン問題に起源を有していること。1994年当時、ダイオキシン測定を行った同組合では、測定したダイオキシン値が国の基準の170倍もあったことを発表し、全国に先駆けてダイオキシン低減化の努力を始めたことが紹介されました。
家庭から排出されるごみをそのまま焼却していては、焼却場周辺の住民の皆さんに迷惑をかけることになります。そこで、プラスチックごみは、分別収集し、清掃工場で燃やさないようにより分け、固形燃料にし、生ごみもたい肥化等によって、燃やすものを極力減らす試みを実践されてきたことが話されました。そして今は使われていない固形燃料施設が、現在の生ごみ処理施設に利用されています。
久喜・宮代衛生組合では、HMD方式によって生ごみを臭いなく処理していることが分かりましたが、そのことを実現するためには、まず家庭から出される生ごみを、市民の皆さんが分別して回収ステーションに出し、行政収集可能なようにすることが、大前提です。
そこでの市民の協力がないと、久喜・宮代のような生ごみたい肥化の取り組みはできません。
生ごみを行政が行政回収する際には、市民による協力が不可欠ですが、分別して回収ステーションに出す方法は、例えばこれまでも先進自治体でいくつかの方法が試されてきています。
・ 野木町では、新聞紙2枚にくるんで出す。2枚にすることで、生ごみの水分を減らすことができ、腐敗防止に寄与する。また新聞紙は堆肥化の過程で、無くなる.
・ 狭山市では、抗酸化バケツに入れて出す。
・ 久喜・宮代での前の方式は、生分解プラスチックで作った袋に入れて出す
などの方法が試されてきましたが、
現状の久喜・宮代町では、こうした各地の事例を比較検討したうえで、新聞紙は、破れたり、消滅させるのに時間がかかるということがあり、バケツは洗う手間が必要であり、洗った排水の問題も出る。などを考え、ポリ袋を協力家庭に無償で配るやり方にしたそうです。

B: アースクリーンの生ごみ処理
久喜・宮代での交流会を14時半に終了し、アースクリーンの生ごみ処理方式を見学するために、埼京線の中浦和にあるS病院に行きました。子の見学会には、8人が参加しました。
 S病院では、建設時に導入した生ごみ処理システムを見学し、そのあとアースクリーンの実験施設を見学しました。その間アースクリーンの小川弘社長には、熱心に説明いただきました。
 <見事な生ごみ処理と15年の実績>
見せていただいた処理施設と装置は、きわめてコンパクトに生ごみを処理していました。ここでの生ごみ処理方式の処理原理は、以下のようなものです。
①厨房での生ごみの破砕(ディスポ―ザ)→ビルピット槽への投入→(駐車場の地下にあるポンプ槽→)
②ビルピット槽から固液選別槽(写真)→
③固体部分の微生物菌(好気性菌)による分解消滅
④液体部分の膜分離処理と放流
このシステムは、2000年の導入後、すでに15年稼働しています。(ほとんどメンテなし)大変素晴らしい仕組みでした。
 ここでのアースクリーンの処理方式の特徴は、生ごみは回収処理するのではなく、厨房で食品を料理した時に、残渣物として出る生ごみを、その場で流し台に設置したディスポーザで粉砕し、そのまま排水管を通してビルピット槽に流し込む点にあります。
下水道が完備しているところでは、そのビルビット層からの汚水を下水に流してもBODが、150(㎎/l)位であるため問題がないと小川氏は話しています。この方式をとれば、生ごみの分別収集の手間は省けることになります。
確かに各家庭で使用する下水処理での水量は、約1トン、1000リットルにもなり、それに薄めてしまえば通常のし尿を流す時の濃度と変わりません。(注釈:3)
 このS病院の建設時にこのアースクリーン処理方式による生ごみ処理システムを設置したために、当時は下水処理の施設整備がなく、ビルピット槽にためた生ごみの内、固形分を消滅させる手立てを考えたということです。
生ごみを含む汚水を②の固液選別槽で選別し、その固形分を③の分解消滅機器で、微生物のえさにして、約24時間で消滅するようにしました。その一方で、④の固液分離層から送られてくる汚水などは、膜分離処理によって、BOD3~5にして放流するようにしています。このBODは谷川の上流の水と同様の水なので、直接河川に放流しています。
生ごみは、ディスポ―ザで粉砕し、固形分は、取り除き微生物の発酵分解力で消滅させ、汚水は膜分離で真水のような水にして河川放流する。これがアースクリーンの処理方式による生ごみ処理でした。
C:まとめ
そこで、久喜・宮代でのHDM方式やアースクリーンでの生ごみの資源化や消滅型への取り組みをみると、 いずれも微生物による発酵分解力を利用していますが、これらは、杜氏による伝統職人技能を駆使するお酒の醸造技術に比べるとはるかにやさしい技術であり、これらを利用して生ごみの資源化を進めることは、容易にできることが、今回の見学会に参加してわかりました。
そこで現状で俯瞰から見ると次のような整理ができるのではと考えています。
A) 場所が確保できる中都市型は、HDM方式(高層化しても比較的広い空間が必要)で生ごみ処理を行う。 焼却によるような環境への影響をなくすことができるとともに、建設費やメンテナンス、運転管理を含め費用の面では焼却による分の5分の1から10分の1の費用で済むことになるでしょう。
B)大都市部は、アースクリーン方式、(下水処理施設が設置されているところでは、ディスポーザを取り付け、し尿との混合処理を図ることにより解決。)環境や費用の面では、HDM方式と同様。
C) その上で、現在東村山市の住宅地で実証実験している除湿型乾燥方式を、事業所や、団地などの大規模排出源には設置する方式を考え、運送費を軽減する。
これらを組み合わせて、生ごみの100%資源化(&消滅型)を考えて行けばよいのではということが分かりました。
またその実践モデルを考えて行く政策勉強会を立ち上げたいと考えています。
企画案がまとまりましたら、改めてご提案したいと思います。
今回の見学会は、幅広く呼び掛けて計画する見学会の実踏のような見学会でしたが、新たに呼びかける時には改めてご連絡いたします。

最後に今回の見学会の幹事は、NPOごみ問題5市連絡会の籏利彦理事に努めていただきました。ありがとうございました。また今年中にもう一度所沢市の資源リサイクル会社=石坂産業(建設廃棄物の焼却しない分別リサイクル工場を建設)の見学会に行きたいと考えています。日時は12月2日(水)です。改めてご案内したいと思います。

注釈1:NPOごみ問題5市連絡会は、三多摩地区の埼玉県に隣り合わせた4つの市町村(東久留米、清瀬市、保谷市、田無市―保谷と田無は、現在は西東京市として合併)のごみを焼却する柳泉園組合の焼却炉建設問題をきっかけに結成しました。5市とはこの4市に加え、柳泉園組合の焼却場による影響を受ける東村山市を含む5市です。
1993年に新たな焼却炉建設計画が発表されると同時に1994年に結成しました。その後6年にわたり反対活動を行い、施設規模を縮小させたり、環境省の内示を取り消させたりしましたが、2000年に焼却炉が建設されてしまいました。その後は、プラスチックの焼却をやめさせる闘いに切り替え、その闘いによって、2006年から2007年にかけて、容器包装リサイクル法によるプラスチックのリサイクルに柳泉園組合構成4市と東村山市の5市で取り組むことになりました。
注釈2:、「生ごみ資源化100%を目指すプロジェクト」は、2010年4月10日、西東京市市民会館大会議室で戸田市の吉田義枝副主幹をお招きして「生ごみで」花いっぱいの街づくり」と題した講演会を開催し、結成大会としました。
その後
・同年5月29日には、「日本における生ごみたい肥化の進捗状況」をNPO堆肥化協会の事務局長の会田節子氏にお話しいただき、
・同年7月17日には「韓国でなぜ生ごみ資源化90%が可能だったのか」を、地方自治総合研究所 鄭智允特別研究員に、
・10月30日には「生ごみたい肥化失敗の中からHMDで再挑戦」を宮代町加納好子町議とフォレスト社の竹内禎社長からいただき、韓国への視察計画を立てていた2011年3月11日に東北大震災がありました。

注釈3: 現行の下水道処理の法律では、マンション等での排水は一度浄化槽に投入し、汚泥を除去する処理をした上でないと排水は下水に流してはいけないことになっているそうです。そこでし尿と同じに取り扱ってよいことになれば、ディスポ―ザ方式での生ごみ処理は新たな展開が可能となります。

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