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<<   作成日時 : 2016/09/15 13:55   >>

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160907 蔵田さんからのメッセージ



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青木泰様、勉強会主催の皆様、
藏田計成

20160905 UPLAN 青木泰 埋めちゃう問題勉強会/学校保育園の放射能対策https://www.youtube.com/watch?v=533127mYP4M

三輪祐児さん発信のユープランを、最後まで拝聴しました。三輪さんご苦労様でした。私は健康、その他の事情があり、何ら活動に参加できない無念を悔いながら、皆さん方の運動の成果を確かめる報告と学習会の成功に聴き入っていました。以下、聴き終わった感想と私見を述べさせて下さい。

@ 横浜の放射能汚染廃棄物校内放置事件は、福島原発事故の深刻さを、別なかたちで、これまで以上により一層拡大したようです。その新たな汚染事実は福島県や隣接県から、さらに首都圏へと、別なひろがりをみせた事例といえます。横浜市内校内で処理された汚泥は、校舎建物の広さに降り注いだ雨水のなかに混入していたゴミ、チリ、ホコリを集めた汚泥廃棄物というから、汚泥は汚染された空間線量をそのまま記録していたことになります。その上で、2つの問題点が浮き彫りになります。この放射線量はその濃度の高さと危険性という点で、また保管場所が大人に比べて子どもの放射線被曝感受性の高さが桁違いに高い校内であったという点で、深刻な意味をもっています。

A まず、その線量の高さです。この放置された汚泥から1〜1.5マイクロシーベルトベクレル/時も検出されたということは重大です。1〜1.5マイクロシーベルト/時を年間Svに換算すれば、1〜1.5×8760時間÷1000=1〜1.5×8.76=8.7〜13mSv/年(8.7≒9倍という数字を知っておくと、Sv単位を基準に考えるうえで便利)となります。この1〜1.5×9≒9〜13mSv/年という高い線量が、校舎に降る注いだ、累積集合線量ということになります。

B では、9〜13mSvの意味を考えて下さい。ご承知のことと思いますが、1990年代以降、世界の御用専門家機関の役割を果たしてきたICRP(国際放射線防護委員会)ですら、福島原発事故以前の被曝線量として、
「一般公衆の放射線被曝線量限度=年間1mSv」」(1985年勧告)
と定めていました。この考え方はある特定な被曝原則を表しています。それは「被曝リスクには安全ラインと危険ラインという相互間の境界線(しきい値)は存在しない」「人工放射線による過剰な被曝限度は限りなくゼロに近づく」(しきい値なし直線仮説・LNT仮説)という論理です。ICRPは、2008年勧告でもこの線量限度を再確認しました。さらに、その翌年にはEURR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)は「一般公衆の年間線量限度=0.1mSv」に設定しました。このようにそれなりにまともな被曝線量基準が世界の定説として通用し的他のです。その背後には、何があったか。おそらく、原発推進派の認識の裏には「事故は起きない」という安全神話があり、その仮説にあぐらをかき、「勝手に言わせておけばいい」というたぐいの傲慢さがあったのかも知れません。

C ところが、いざ事故が起きるや、推進派は本性をむき出しに、基準値を無視・圧殺し、非常時の特例を持ち出し、政治的、行政上の基準値を、安心神話に代えて強制してきました。日本政府・官僚・御用学者達は被曝防護の原則を公然と投げ捨てるという蛮行をふるまったわけです。この所業はチェルノブイリ事故とは対称的でした。居住地の空間線量1mSv以下は避難権利区域、5mSv以下は強制避難区域(チェルノブイリ法)を制定しました。そのような行政措置を執ったにもかかわらず、チェルノブイリでは、事故10年、20年、30年後でも、健康被害は続いています。汚染地域の小中高校では「通常の体育授業」ができる生徒の数は半数以下です。このような健康破壊の実態は、被曝傷害の発症が一時的なものでないことを物語っています。事故時に被曝した子どもが潜伏期間を経て発症しています。事故後の累積被曝にさらされてきた事実を物語っています。いったん汚染された地域では、何十年間も放射線というみえざる相手と向き合わなければいけません。

D ICRPのいう「1mSv論」には歴史の経過があります。すでに、1958年ICRP勧告では「作業者」とは別に「一般公衆」という新しい考え方を持ち出し「年間5mSv」に設定しました。どういう訳か、その当時のアメリカ原子力委員会は一般公衆「年間1.7mSv」と定めていました。さらに、その27年後、ICRP1985年勧告では「1mSv」と大幅に引き下げました。この1mSv論は、ICRPという原発推進の後押しをしてきた世界的専門家集団による53年間の研究成果であることは事実です。さらに、その基準値を10分に1に引き下げたEURRの「年間0.1mSv」は、人類知の到達点というべきです。さらにまた、空間線量5mSv/年(3ヶ月1.3mSv)は、放射線管理区域(作業者は使用器具持ち出し禁止、外出時は身体洗浄)の基準値であり、事故前の平常基準です。

E 放射性物質100ベクレル/kgという線量は、「クリアランスレベル」と称し、事故前の放射性物質を定義づけ、汚染物として取り扱う基準値でした。福島事故後はその線量基準がそのまま米や野菜の「食用基準」なっています。その基準値を「8000ベクレル」(80倍)に引き上げ、それ以下の汚染物質を、日常の生活空間に持ち込もうとしています。私たちは、これを「政治」として許しています。首都圏を含めた私たちは、被害者でありながら、被曝を放置することによって、加害者になることを意味します。無自覚に汚染食品を食べることは、自滅への道につながります。次世代に対して、親としての責任を放棄することになります。

F 子どもに対する責任論は、別な視点からも見逃すことはできません。アメリカの放射線医学者ジョン・ゴフマンは年齢別被曝感受性の違いを解明しています。物理学では、ある集団1万人が1mSv等しく被曝したとして、その集団の被曝総線量は1万×1mSv=1万・人mSvと称しています。仮に、46歳の「1万・人mSv」当たりの被曝ガン死者数(46歳、1万人、1mSv被曝、そのうちの被曝死者数)を1人とすると、0歳は約30人、10歳は約20人、20歳は約10人となります。つまり、0歳が1mSv浴びたら、1万人のうち30人(46歳の30倍)のガン死者が、数年後〜生涯にわって生じることになります。また、この論文が発表された当時には、ガンや白血病しか対象にされていません。その後、チェルノブイリから福島に至るまで、新たに循環器系(心疾患、脳梗塞)などの疾患死が半数以上の割合で新規追加されています。このように、放射性汚染廃棄物の校内放置事件は、子どもに対する被曝危険性の実態を、被曝感受性と遺伝子損傷という2つの側面からとらえていくと同時に、汚染廃棄物処理と保管という社会的、政治的問題として問われています。

●下記は、余分ですが、この1冊は、必読で、掛け値なく、10冊分に相当します。
新版『原子力公害』タンプリン、ゴフマン共著 新訳・河宮信郎
(人類の未来を脅かす核と、科学者の倫理と社会的責任) 明石書店、本体価格
4600 円          推薦文 蔵田計成  ゴフマン研究会


推薦、必読!反原発に関する20世紀最高の名著
放射線被曝の危険性、低線量被曝論、核・原発反対の論拠・思想、科学技術論、原発神話の虚構・欺瞞の実態暴露などが、分かりやすく、読みやすく、いまも鮮やかに、この一冊にすべて凝縮されている。しかも、誰もが読み通せる渾身の邦訳である。これまで多くの関連著作が世に送り出されてきた。そのなかにあって、初期の核開発時代のアメリカ国立研究機関の中枢に在籍した著者達が、生体の被曝危険性に対して、早くから、しかもこれほどまでに根底的で全面的に問題点をえぐりだし、警告を発した著作は、時代を超えていまなお異彩を放っている。さらに、公衆の年間被曝線量基準「0.1mSv」を宣言した欧州放射線リスク委員会(ECRR)の被曝防護理念の原点も、この1冊にあると思われる。
なお、本書の記述内容に関して、1個所だけ重要な補足が必要である。本書には「子どもの甲状腺被曝は、15年後に甲状腺がんをもたらす」(p.96)という記述がある。だが、この15年説は、1960年代の執筆当時の〈通説〉であった。国連機関も1986年のチェルノブイリ事故において、この〈通説〉を適用して頑迷に発症事実を全否定した。その誤りを訂正し、発症事実を認定したのは、事故発生10年後であった。福島事故においては、小児甲状腺ガン発症は「事故1年後にはじまる」という事実が明確にされようとしている。(初出 ちきゅう座掲載 6月4日)
      

 


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