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zoom RSS 子供の甲状腺がん117人ー被ばく影響を否定する大罪!? 福島の切り捨てに手を貸す御用医師たち 

<<   作成日時 : 2015/05/27 13:28   >>

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月刊誌『紙の爆弾』6月号に下記小論を書きました。
(5月7日全国書店で発売)ご案内いたします。 環境ジャーナリスト 青木泰



子供の甲状腺がん117人ー被ばく影響を否定する大罪!?
福島の切り捨てに手を貸す御用医師たち

今回私は、3つの問題意識のもとにこの小論を書きました。
一つは、福島の健康調査で見つかった117人もの子供の甲状腺がんの事実は、現状の被ばく救護体制へのレッドカードにあたり、見直し対策が急務。
二つは、医療専門家を使って、この事実を隠そうとする背景には、国や環境省の原発安全、被ばく安心神話論があり、福島の切り捨てともいうものだ。
三つ目は、科学的事実を誤魔化す御用専門家たちを許してはならない。
と言うものです。

被ばく影響を否定し、影響実態が分かることを先延ばしする国の思惑の中には、「原発再稼働」に向けて、安全・安心論を維持したいということもあると思います。

小論の内容は、読んでいただくとして、この問題を通して感じたことを以下に少し書きました。

<117人の子供が甲状腺がんに被患>
子どもの甲状腺がん調査の結果、これまで100万に数人と言われ、専門の医師でさえ、診断した経験が数少ないと言われるがんが、疑わしい子供を含め117人も見つかっています。

この被ばく問題を考えるうえで、3つの否定できない事実があります。
@ 福島では、117名の子供が甲状腺がんにかかり
A 甲状腺がんの発症の要因である福島原発事故による放射性ヨウ素の放出があり、





B しかも放射性ヨウ素の影響を防ぐための安定ヨウ素剤が全県的に配布されなかった






したがってこれら三つの事実から一番最初に考えられる要因は、被爆による甲状腺がんの多発ということです。

甲状腺がんの背景には、1000人の甲状腺疾患を抱える患者がいるといわれています。したがってこの117人もが見つかったという事態は、これまでの被ばく防御体制(=食品安全基準や避難基準、そして汚染物の焼却基準)が、問題があったということです。これらを見直し、日本中の英知を集めて、子どもと未来を救うための対策に乗り出す必要があります。

<御用医師たちは、被ばくによる影響を否定>
ところが驚いたことに、環境省が選任した専門家会議(長瀧重信長崎大学名誉教授座長)では、「被ばくによるものではない」という驚くべき見解を発表し、必要な措置をとることに蓋をしています。

その結果、福島の子供たちは、繰り返し診断を受け、必要な救済策を受けることなく、逆に国は、福島への帰村運動や従来の食品基準のまま福島産の農産物を食べるように進める有様です。しかも指定廃棄物などの汚染廃棄物を焼却処理し、汚染の大気拡散を行いつつあります。



専門家会議に集う大学や研究機関の医療専門家たちは、一番最初に考えなければならない被ばくによる影響を、最初から否定していました。百歩譲って「すぐ被ばくによる影響だ」と断定できないとしても、一番重要な論点として残して措かなければならなかったはずです。その結果、本来科学的な議論から生み出される結論とは、全く逆の結論が、専門家会議の議論として導き出されています。

私は、民間時計会社の技術研究所に勤めていましたが、民間の研究機関とはいえ、そこでの議論は、だれか権威者が言ったから優先的に採用されると言うものではなく、あくまでも科学的事実や論理的合理性が、議論の上での良し悪しや判断の基準でした。

もしそのような議論の場で、権威をかさにして、暴論を押し付けようとすれば、科学者としては失格であり、個人としても、組織としても自己規制が働き、そのような対応は許されませんでした。もし許されてしまえば、専制的な独裁体制を良しとすることになり、自由闊達な発想や議論の中で生み出されてくる新たな研究開発のシーズを自らつぶすことになり、企業体自身にとっても、プラスにはならなかったのです。

ところがどうやら日本の医学界では、権威者の主張が、たとえそれが間違いでも、自分の出世や地位の確保のためには、口に蓋をして、対応することが、当たり前に行われてきたようです。専門家会議での議論を追う限り、ここに参加していた人たちは、専門家としての気概やプライドさえ、なくしてしまっているように見えました。

<医師たちの世界に何が起きているのか>
本来人の健康と生命にかかわる医師たちだったはずです。専門家会議に集められた専門家医師たちは、よりもよって、多くの子供たちの運命を左右する決定を歪めてしまう。その点に疑問を感じ、異議を唱える医師は、一人もいなかったのでしょうか。今、医師たちの世界に何が起きているのでしょうか。

私が疑問に突き当たった時、ちょうどその時、医者の世界で次々に問題が発覚し始めました。

群馬大学で、同一医師による肝臓がん等の腹腔鏡手術によって、8人もの患者が死亡していた事実が発表され、いずれも過失による事故だったと報告されました。一人が死亡した時に、病院としてチェックする仕組みがなぜなかったのでしょう。

病院内の他の部門の医師や看護婦などから事実指摘が上がり、その医師の執刀を中止させる仕組みがなぜ働かなかったのでしょう。

また千葉県がんセンターでも腹腔鏡手術で11人が死亡し、その他慈恵医大や神戸新病院でも、死亡事故や死亡事故への訴訟が行われ、今週号の週刊文春でも「「名医」を疑え」と取り上げられています。

大学病院や大病院の中では、権威の前で事実を指摘することすら封じ込められ、自分たちや自分を守ることに汲々とし、患者の人権も命も犠牲にしてきた事件が発覚したといえます。

専門家会議の医師たち、そしてこれら不祥事を起こした医師たちに共通しているのは、医師が他人の生命に対して、まったく希薄になった感情しか持ち合わせず、病院内の組織が、物言えぬ管理社会、牢獄のような組織になっていることです。

<事実を捻じ曲げる手品>
「医師を見たら死神と思え」は、ビッグコミックで連載中の漫画(はしもとみつお作画、よこみぞ邦彦原作、近藤誠監修)の表題で、群馬大学や専門家会議の「医師」たちを見ていると、このフレーズを思い浮かべてしまいます。

長瀧座長のもとで、被ばくの事実を否定するのに使ったのが、2つの手品です。その第1番目が、長瀧座長がいう長瀧ドグマというべき教条のもとに、従わせたことです。その内容は、
@ 被ばく線量が、100msv以下では、被ばくによる症状が出ない。(注1)
A 出る症状は甲状腺がんだけである。(まれに白血病)
B がんは4〜5年以上経過しないと発生しない。
というもので、これはチェルノブイリの調査事故から導き出されたものだというドグマでした。

一方、子どもの被ばく線量は、「実測値」から予測して、今回の福島では、どの地域においても、この100ミリシーベルトを超えるものはなかったとしています。

このドグマのもとで、この「実測値」から考えると、被ばくによる影響はないということになります。(ちなみのこのような一見科学的に見える「実測」を行い、予定している仮装=ドグマに照らし、ドグマに当てはまっていないからと事を誘導するやり方は、行政がよくとるやり方です。問題はそのドグマの信ぴょう性と、実測値と被害発症との関係が、明確化できていない点にあります。)

もしそれが事実であったとしても、そのチェルノブイリと同じことが福島でも起きているのかを見るのが、今回の調査の目的であり、調査結果が出る前からチェルノブイリと同じはずだと枠にはめてしまうのは、科学的に事実をとらえて行く手法としては、明らかに間違いです。

ティモシー・ムソー教授が、ツバメの調査によって、チュエルノブイリ事故の影響を調べ、福島でも同様の調査をしていますが、福島では、被ばくによる傷害などの影響が早く表れていると報告し、両方の調査からわかる同一の傾向と、異なった事実を比較し、客観的にとらえる調査を行っています。科学者として当然の姿勢であり、専門家会議の学者たちは、見習うべきものです。

<落語の時そばレベルのごまかし>
御用学者たちがひねり出したもう一つの“手品”は、聞いてみると落語の時そばのような誰でもわかるひどいごまかし方です。

福島での調査を一巡目の調査(2011年10月から2014年3月まで)と二巡目の調査(2014年4月〜)にわけ、一巡目をベースライン調査(被曝による影響がでない時点での)とするという方法をとっていました。

なぜ1巡目だと被ばくによる影響が出ないといえるのかは、何ら論証せず、先の長瀧ドグマの第3番目の甲状腺がんは、4,5年経過しないと発症しないを根拠にしています。調査しなければ早期の甲状腺がんの発症があるかもわからないのに、「ない」として、実験計画すら偽っていたのです。

通常このような影響調査では、調査する対象地域での調査を「対象調査」とすると、それに対して、影響を受けていない地域の調査を「対照調査」として、そこでの発症例を調査し、調べたい地域のそれと比較するようにしています。その時の「対照調査」のことをベースライン調査とも言います。

被ばくによる影響は、「対象調査数」と「対照調査数」による比「対象調査数」/「対照調査数」で表すと、比の数値が高ければ、被ばくによる影響が強く表れていることになり、逆の場合影響はないということになります。

したがってこの場合分母に来る「対照調査数」が多ければ、被ばくによる影響は小さく見積もることができます。

今回は、分母に来るそのベースライン調査=対照調査をよりによって、福島県内で行っているため、福島での被ばくによる影響が、早くかつ強く出ていればいるほどその1巡目の数値が高くなり、結果としてその比の値は少なくなり、被ばくによる影響は、ないという真逆の結論を誘導していたのです。ほとんど振り込め詐欺まがいの詐欺行為といってよいでしょう。

その結果 一巡目の調査では110人、現在までの二巡目を含む調査の合計で117人の甲状腺がんが見つかっていますが、専門家会議の主張では、1巡目は、被ばくによる影響を受けていない「対照調査」であるため、現状で被ばくによる影響はないという結論を出しているのです。

これは、落語の時そばで、代金を言われた客が、1文、2文と勘定し、途中で「今何時(なんどき)だ」を挟んで、その「時」を言って、その時の数字の後から代金を勘定して、代金の支払いをごまかすレベルのごまかしです。したがって、参加している御用専門家は、深刻に進んでいる被爆の実態を意識的に隠すための1巡目、2巡目論だったことは、意識した医師としての犯罪行為といってよい対応と言える。

<まとめ>
低線量の被ばくによって、甲状腺がんが117人にもなり、ヨウ素131による体内取り込みによる内部被ばくによる影響が進行しています。
この事実を隠し、御用学者たちによる被ばく否定論をよりどころとしながら、対策対処を先延ばし、被害を拡大する対応は、公害問題に対して、従来国や行政がとってきた対応そのものです。水俣水銀問題では、国がそのようなこれまでの対応を反省していたことです。

4年目で117人の甲状腺がんの発症という重大事実をごまかす国による福島切り捨てともいえる事態は、さらにひどく、今日本では、指定廃棄物という高濃度の放射能汚染物を焼却によって大気拡散し、内部被ばくを拡大させようとしているのです。

私たち一人一人が、抗議の声を上げ、これらのたくらみを阻止し、対策対処に取り組むように求めて行きましょう。

注1:なお「紙の爆弾」6月号の本文では、(p42の1段目6行目から7行目ですが、)下記のようになっていますが、正しくは、→の通りです。
「@放射線量が100ミリシーベルト(毎時。以下同)以下のところでは、被曝による症状が出ない。」→「@放射線量が100ミリシーベルト以下では、被曝による症状が出ない」

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