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zoom RSS 指定廃棄物を焼却する実証事業―鮫川村で爆発事故 2013年9月9日 環境ジャーナリスト 青木泰 

<<   作成日時 : 2013/09/27 00:35   >>

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 指定廃棄物を焼却する実証事業―鮫川村で爆発事故 

「爆発」事故を隠す環境省に抗議を

        2013年9月9日  環境ジャーナリスト 青木泰 

 8月29日、環境省の管轄・責任の下で進められている指定廃棄物の焼却による福島県東白川郡鮫川村にある実証事業の最中、爆発事故が起った。周辺の住民からは、地響きを立てた爆発音を聞いたと鮫川村や消防署に連絡があったが、焼却炉を設置している事業所の責任者や環境省からは、9月2日に至るまで、鮫川村や消防署、警察署への連絡はなかった。

 施設設置にあたって、『絶対安全』吹聴し、万が一の時にはすぐ連絡を行うとしていたのが、消防法に定められた通達すら行なっていなかった。

 そして環境省が提出した報告書(第1報告)(*1)では、「爆発」の言葉が使われていなかった。

 福島第一原発事故の時には、政府・経産省・環境省は、メルトダウンの事実を隠し、フリーの記者の質問にそんなことはないと発言を抑え込み、結局レベル7の大事故だったことが後に明らかになった。再び同様の事を繰り返そうとしている。

 爆発の事実を認めることは、原因を突き止め、再発を防ぎ、人身事故に至る事故を防ぐためにも、最初の1歩である。責任官庁である環境省と、委託事業者である日立造船(株)の法律上も定められた責任である。

 爆発事故だったことを隠し、所轄官庁に連絡しなかった初動の誤りは、明らかである。石原伸晃環境大臣はどのように釈明し、責任を取るのか?

 数年前中国での新幹線の脱線事故に対し、担当責任者が、脱線した列車に土砂を被せ、隠ぺいを図ろうとして、世界から嘲笑を浴びた。周辺に鳴り響き、地響きを立てた爆発事故を『コンベアーの破断』で済ませようとしている今回の環境省の対応は、中国と似たり寄ったりだが、その中国は、隠ぺいしようとした責任者を首にし、処罰したという。

 
1) 爆発事故があった時にはすぐに届けなければならない

 消防法では、「爆発」は、火災の定義に含まれ、第24条で「火災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署又は、市町村長の指定した場所に通報しなければならない」と定め、さらに「すべての人は前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない」としている。火災や爆発事故を知れば通報することがいわば国民の義務として消防法で規定されている。

 このような規定を知らなくとも多くの人は、火事や爆発が起きたことを知れば、役所や消防署、または警察に連絡する。

 一方消防法の16条の3の第1項では、「製造所,貯蔵所、または取扱所、の所有者、管理者占有者は、・・・・事故が発生した時には…災害発生の防止のための応急の措置を講じなければならない」とし第2項では、「その旨、消防署、市町村長の指定した場所、警察署…に通報しなければならない。」としている。

 一般の人でも通報義務があり、ましてや管理責任者等は、警察を含めて連絡するように法律上定めている。
 ところで環境省は、今回なぜすぐ通報しなかったのか?

 この点は環境省に直接尋ねる必要があるが、環境省の事故の報告文書に「爆発」の言葉が一言も使われていないことにその秘密があると考えられる。

 「消防法の解説」を見ると火災とは、次の3つが含まれているものと定義づけられている。

@ 人の意図に反してまたは放火により発生する
A 消火の必要がある燃焼現象
B 消火施設または同程度の効果のあるものを利用する必要とする。

この3つの内どれでも該当しないものがある時には火災と呼ばないという。

ところが爆発現象は、上記のAとBの有無にかかわらず、火災に該当するのである。

 従って消防法の上述した法規から言っても、爆発があった時には、事業責任者は、すぐに消防署、鮫川村の指定する場所に連絡しなければならなかった。

 ところが、環境省は、その点を怠った。爆発事故について、通報すれば当然消防署なり、警察署が現場検証を行う。すぐ通報しなかったことにより、事故後の手つかずの状態の客観的な検証ができなかった。

 最悪の場合、証拠隠滅に走った可能性も否定できない。

 爆発だとすれば、すぐ連絡することが、消防法上も求められる。「爆発とは考えていなかったため、通報しなかった」そうした言い訳を考えて、事故報告書に爆発と言う言葉を使っていないのではないかと考えられる。
 

 2)「爆発」の表現を回避しても爆発の事実は隠せない。

 環境省の第1報告では、爆発と言う言葉を使わず、事故の説明が続く。

 焼却による仕組みは、焼却炉の炉に、焼却物(焼却原料)を投入し、場合によっては助燃材(ガスや灯油など)を使いながら焼却する。焼却物は、焼却されると分解されて、ガスや煤塵になる。不完全燃焼の時には、煤塵が多くなり、黒い煙が出る。

 ガスや煤塵は、焼却炉の上部に設けた排気口から排出され、煙突に送られる。途中に設けたバグヒィルターで煤塵が除去され、排ガスを中心に煙突に送られる。この煤塵を飛灰という。

 一方焼却した後に残る燃え殻(=主灰)は、焼却炉の底部に残り、これは焼却灰の貯留庫に運ばれる。今回問題になっているコンベアは、焼却炉から書き出された主灰を、この貯留庫(ここではセメント固化室)に運ぶものである。(これらの概要図は第1報告のP2に掲載されている。)そしてコンベアーは、おそらく数万ベクレル〜10万ベクレルを超える主灰を運ぶため、金属製のカバーが覆われている。

 事故によって一番目に付くところが、そのコンベアの金属製の覆いの破断箇所であり、3mにわたって、50cmの幅で口を開くように避けている場所である。(P4写真中央部)代報告の概要(P1)では、次のように説明されている。

 「主灰(燃え殻)コンベアの覆いの1部が、破断するなど主灰コンベアが破断しましたが、其の他の装置の破損はありませんでした。」(P1)

 ここでは、機械的な力で「破断」「破損」したように表現し、その破断、破損はどのような力が働いた結果生じたかについては記載がない。

 この点については、兵庫の樗木(ちしゃき)博一氏の話では、3000度位の熱で爆発すれば、計算上は、約10気圧位の圧力がかかり、溶接していてもこのようなカバーは、破断すると言っている。

 報告書では、さすが原因無く破断が起きたと言うだけではまずいと考えてか、原因となる事象については、下記のように書かれている。

 「これまでの調査の結果、当日の朝、主灰を搬出する際に、開放するゲート(ゲートシリンダー:焼却炉の下部に位置する)を閉め忘れたことなどから、焼却炉を回転させる軸の隙間から可燃性ガスが少しずつ漏れ、主灰コンベア内に滞留し、着火したことが原因と考えられる」(P1)

 ここでは、「可燃性ガス」がコンベア内に「滞留し」、それに「着火」したことが原因と書いている。しかしここでも、その結果「爆発」が起きたとは書いていない。

 この文を読んで、環境省の担当者に9月2日には、説明を求めた山本太郎参議院議員の湯川秘書は、てっきり環境省が爆発事故だったことを認めたと思ったという。確かに可燃性ガスが滞留し、着火されればすなわち爆発だと考えるのは当然だろう。

 ところがここでも着火の結果爆発した、その爆発の力でコンベアが破裂したとは書いていない。そして次のような報告が行われている。

 「主灰コンベアは動いており、主灰コンベアで運ばれた焼却灰が、火種となって、滞留した可燃性ガスに着火し、ケースに覆われた主灰コンベアの圧力が急激に高まり、主灰コンベアのケーシング等が破断したものと考えられる。」P12

 ここではさらに一歩進んで、コンベア内に滞留した「可燃性ガス」に「着火し」その結果、コンベア内の「圧力が急激に高まった」と書いている。「圧力が急激に高まる」というのは、まさに「爆発」と言うことだ。

 ちなみに爆発は辞書的な定義によると「急激な化学反応で多くのガスと熱量とが一度に発生し、光と音とともに破壊作用を行う現象」(小学館国語辞典)とある。

 ところが、ここでも、爆発と言う言葉を使っていない。

 こうした環境省の第1報告を見ると、「可燃性ガス」が、「滞留」し、「着火」し、「圧力が急激に高まった」との記載がある。つまり今回の事故が爆発だということが、明らかに読み取れるのに、意図的に「爆発」と言う言葉を使わず、爆発の事実を覆い隠していることが分かる。この第1次報告自身その証拠書類となる。

 
3) 報告書では分からない本当の原因

 今回の事故は、指定廃棄物の焼却炉の実証事業中に起きた。7月に試験焼却を行い、8月19日から実証事業に入ったばかりの事故である。住民や多くの識者・専門家からから高濃度の放射性廃棄物を焼却することは、危険であり、焼却による2次被害が指摘されていた。

 環境省は、これまで放射能汚染物については、クリアランスレベル(例えばセシウム134,137では、100ベクレル/kg)以下でないと廃棄物として取扱ってはならないとしていた。ところが、311以後、暫定的と言うことでその基準の80倍の8000ベクレルまで、市町村で取り扱ってよいとした。

 そして2012年1月1日に施行した放射性物質汚染対策特措法では、8000ベクレル以上の放射能汚染物や特定の汚染地域から出されてきたものを指定廃棄物と定義し、それらの処理は、環境省の責任で行うとしていた。普通に考えれば、通常放射能汚染物と同様に、数百年の保管を義務付ける方法で処理するものと考えていたところ、蓋を開いてみると鮫川村等で焼却するというのである。

 指定廃棄物全体の量は、過半を占める焼却灰を含め、約10万トンぐらいにしか過ぎない。分散せず安全にどう保管するかを考えればよい。たとえば第1原発の周辺域に保管すると言う手もあろう。

 ところが、2割弱にしかならない牧草や稲わら、堆肥などを減容化のために焼却するというのである。これらの有機系廃棄物は、乾燥や発酵させれば減容化できるものを、各地で焼却するというのである。

 これはもう環境汚染から国民を守る役割を負った環境省のすることではない。焼却して大気中に放射性物質を放出するというのだから環境汚染省と言い換えたほうが良い対応である。

 しかもやり方が実に姑息である。焼却炉の規模を環境アセスが除外されている小規模焼却炉にして、焼却するというのである。

 そこに見えるのは、安全性を横において、焼却炉建設でお金を使うという姿勢でしかない。

 今回の事故はそうした環境省の姿勢の下に、起こるべくして起った事故ともいえる。

 第1報告で示された事故原因は、「焼却炉を回転させる軸の隙間から可燃性ガスが少しずつ漏れ、主灰コンベア内に滞留し、着火したことが原因と考えられる」とし、「可燃性のガス」が焼却炉から発生し、焼却炉の回転軸の隙間を通って、漏れ落ちたとなっている。

 しかし現に稼動し、焼却中の焼却炉から「可燃性ガス」が、もれ落ちると言うことがあるのだろうか?

 8月29日の事故当日は、焼却炉は、朝の9時から牧草や稲わらを、1時間約200kg処理するスピードで稼働させていた。5時間半が経過し、約1トン処理した時、午後2時半に事故が起こっている。(通常の焼却炉ならこの時点で約100kgの主灰が発生し、約30kgの煤塵が捕獲されている。)

 この間焼却炉は数百度で焼却されているのであるから、「可燃性のガス」が、焼却炉の下辺から漏れ落ちると言ったことは、考えられない。焼却炉の排ガスは、上部の排気口から煙突に向かって排気される。その途中のバグヒィルター等で排気に含まれる煤塵(飛灰)を除去され、セメント固化室にこれも運ばれる。

 従ってガス状のものは、最上部の排気口から排出されるため、可燃性ガスが、コンベアを介して運ばれ、コンベア内に滞留したという筋書きは、全く分かりにくい。

 先の樗木(ちしゃき)氏他何人かの専門家に取材したが、そこで示された話を参考に整理すると、次のようになる。

 焼却炉は一日の稼働を終えると、主灰(焼却残渣)を、翌朝まで冷まし、翌朝焼却炉から取り出し、コンベアによって、セメント固化室に運ぶ処理を取っている。

 その時焼却の状態によっては、未燃残渣がコンベアによって運ばれ、コンベア内や地下のセメント固化室に運ばれ蓄えられていた。

 今回の事故は、焼却炉の回転軸の隙間から落ちた火種によって、その未燃残渣に火が付き爆発を起こし、その爆風で地下のセメント固化室に蓄えられていた主灰や煤塵が舞い上がり、それに火が付き第二の爆発を起こしたのではないか?

 いずれにせよ、焼却炉の回転軸の隙間から、可燃性ガスや火種が漏れるというのは、焼却炉自体に問題があったと言うことになる。炉内からの排気は、煙突に向けてファンで吸引される構造になっているため、炉内は常に負圧を維持し、物が外には出ないことになっている。ところが炉内からガスにせよ、火種にせよもれたと言うのは、焼却炉が異常状態にあったことを意味する。場合によっては爆発は、焼却炉で起きたかもしれない。

 こうした指摘を含め、検証する必要がある。今回の経過から言って事故の再発は、このままではさけられない。再発した時の責任は誰が取るのか?

 
4) 爆発によって放射性物質はどのように飛散したのか?

 爆発による放射性物質の飛散の件については、まず29日の焼却炉の運転稼動で発生した主灰、煤塵の放射能汚染の濃度が問題になる。

 爆発によってどのように飛散したかの前にそれらの数値を示すことが必要である。ところが第1報告で測定し、発表しているのは、施設内外の空間線量や土壌汚染値でしかない。

 今回の事故で放射能の影響で問題になるのは、飛散したものを呼吸によって取り入れる内部被曝である。爆発が今も続き、煙も出し続けているのなら空間線量の測定値は意味があるが、現状での空間線量の測定は、何もでないことを期待しての測定でしかない。

 また同様に土壌の検査も、今回の影響を見るのならば、土壌の表面部分をかき集めて測定する必要がある。もし表面部分以外も混ぜ込めば、測定値の操作はできることになる。

 今回の爆発によって、飛散した放射性物質の汚染数値はどのようなものか?

爆発が何を原因にして起こったのかが関係するが、

−@ 主灰の汚染レベル。コンベア内に残っていた灰、焼却炉内の主灰、セメント固化室内のサイロにたまっていた主灰それぞれについて明らかにしたい。
 A 煤塵の汚染レベル。バグヒィルター内、セメント固化室内のサイロにたまっていた煤塵、それぞれについて。
 B 爆発によって主灰などの飛散した状況の調査―
爆発後の回転炉周辺や工場内の周辺の放射性物質の飛散状況の調査。
C 今回焼却していたものは、牧草と稲わらだということだが、投入前の放射能濃度の測定値は?
D これまでの測定の記録。

このほか事故現場の処理について

@ 事故後の対応についての時系列の報告書−事故当時の作業員の配置やどのような操作を行っていた時の爆発事故だったのかも含め。
A  爆発後の回転炉周辺や工場内の周辺の現場は、消防署や警察署が来るまでに、現状保存していたか?掃除をするとか何か手を加えたことがあったか?
   あったとしたら誰の責任で行ったか?
B 爆発後のブルーシートは誰がいつ貼ったものなのか?
 まず今回の事故は、日本で始めて行った指定廃棄物の焼却と言う放射性物質の焼却処理という実証事業の中で起こった事故であり、あらゆる方面から英知を集めて原因や影響について調査する必要がある。
 発表されているような事故の影響を小さく見せるような対応は許されない。


5) まとめ

 事故の通知を鮫川村焼却炉研究会の和田さんから受け、最初に変だと思ったのは、和田さんからは「爆発事故」と知らせがあったのに、行政側はコンベアのカバーの破断、破裂などと「爆発」と言っていないことだった。
 和田さんに確かめつつ、事態の経過を追うと、環境省による「爆発」隠しだということが分かった。
 オリンピック招致での安部首相安全宣言、汚染は湾内にブロックしていると言う嘘や海洋に汚染水を流失させた責任を棚上げにした飲用基準の500分の1でしかないと言う発言なども大問題だが、日本の官僚機構はすべからくこのように適当になってきている。   よく言われることだが、議会が監視の役割を果たさなければ、行政は適当になり、市民が関心を持たなければ、議員はだめになる。私たち市民が一つ一つチェックして行くしか、未来につなげない?
 爆発事故と認めさせ、その原因を調査させ、必要のない指定廃棄物の焼却を止めさせたい。すでに鮫川村焼却炉研究会や326政府交渉ネットで、国会議員への働きかけと、専門家を集めた調査組織の結成の準備に入っている。
 
 注釈
*1:農林業系副産物等の処理実証事業―主灰コンベア破損事故の原因調査結果―第1次報告http://shiteihaiki.env.go.jp/pdf/q5_samekawa_130902.pdf

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