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zoom RSS 130223 岩手県への住民監査請求書(案) 提出版 

<<   作成日時 : 2013/03/25 13:21   >>

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住民監査請求書

岩手県監査委員殿

1.請求の趣旨
岩手県知事に対し、がれきの広域処理に関する違法な公金の支出に対し、地方自治法第242条の第1項に基づき住民監査を行い、当該行為を防止し、当該契約を是正することを求める。

2.事実経過
1)岩手県が結んだ広域化委託契約とその内容
(1)岩手県と大阪府、大阪市との広域化委託契約
2012年8月3日、岩手県と大阪府及び大阪市は、被災地である岩手県の早期復旧に必要不可欠な被災地の廃棄物の処理を、安全性を確保し相互に協力して実施するための基本的な事項について基本合意書(甲第1号証:東日本大災害により発生した被災地の廃棄物処理に関する基本合意書)を結んだ。 
2012年11月13日、大阪府は岩手県と災害廃棄物処理業務委託契約書(甲第2号証:災害廃棄物処理業務委託契約書)を「委託業務名:災害廃棄物処理業務(宮古地区)」「委託期間:平成24年11月13日から平成25年3月31日まで」「委託料285,250,792円(税込)」を締結した。
なお同契約書(甲第2号証)別紙には、委託料の内訳が記載され、運搬費145,103,458円
処理処分費88,413,400円、借り上げ料28,271,614円、放射能測定費10,860,307円、事務費12,602,013円となっている。運搬費だけで約半分を占める。
この契約第2条において、必要な業務について「再委託」を行う旨を記載し、再委託先として、次のように明示した。
「一 運送事業者 災害廃棄物の藤原埠頭から大阪市環境局舞洲工場までの間の運搬」
「二 大阪市 災害廃棄物の焼却処理及びその焼却灰の埋め立て処分」
2012年11月22日、大阪府と大阪市は、大阪府が岩手県から受託した一般廃棄物の処理業務に関して契約を締結し、第3条において、大阪市が廃棄物を「舞洲工場で焼却し、その焼却灰を北港処分地に運搬し、埋め立てする。」こと、第4条でその契約期間は、「契約日から平成25年3月31日までの間とする」このほか処理委託する廃棄物は「木くずを中心とした可燃物」とし、その計画数量は、「6100トン」とすること、業務委託料を「94,623,698円」とすることなどを契約した。(甲第3号証:廃棄物処理業務委託契約書)
要するに、岩手県宮古地区(宮古市、岩泉町、田野畑村)の3市町村で発生した災害廃棄物(=一般廃棄物)について、3市町村が処理する責任がある。そのため、当該市町村が処理した上で、処理できない分を岩手県に委託(事務委託)(☆1)し、岩手県は、その廃棄物の処理を大阪府に処理委託(☆2)した。
大阪府は、運送事業者に岩手県から大阪市の舞洲工場までの運送を「再委託」し、大阪市には、舞洲工場に運ばれた廃棄物の焼却と埋め立て処分を「再委託」した。
大阪市は、災害廃棄物を舞洲工場で焼却した後の焼却残滓と焼却灰の運搬処分を、業務委託契約書(甲第4号証)で今里衛生協同組合に委託している。また埋め立て処分を契約変更承諾書(甲第5号証)でショベル工業株式会社に委託している。これは、岩手県が、大阪府に処理委託した地点から考えると再々委託となる。
この契約の下に、大阪府と大阪市は、岩手県宮古地区のがれきを、今年2月から処理を始めた。
業務完了に伴う支払いは、契約書(甲第2号証、甲第3号証)によれば、契約に基づき業務を進めたときには、
@)大阪府は、委託先の大阪市や委託運送事業者から業務完了報告書を受け、確認検査の後、委託料を支払う。
A)大阪府は、業務完了報告書を作成し、岩手県に提出し、岩手県の確認検査を受けた後、岩手県から支払いを受ける。
また岩手県は、環境省から補助金の支払いを受けた被災市町村から受領した補助金を、大阪府に支払い、大阪府は、再委託先に支払い、大阪市はさらに再々委託先に支払う形をとる。
(2) 岩手県と富山県、富山広域組合他との処理委託契約
 岩手県と富山県は、災害廃棄物の広域処理の基本的枠組みに関する覚書(甲6号証)を交わし、試験焼却の後に今年4月から岩手県の山田町から木くずを主体とする可燃物の受け入れを本格的に行おうとしていることが新聞報道されている。(甲7号証)
(3)岩手県と秋田県との広域化契約。
 岩手県と秋田県もがれきの基本協定書(甲8号証)を結び、秋田市、大仙市、横手市などで現在受け入れ中である。


2.広域化の法令的背景 (詳細は☆3に記載)
環境省主導でがれきの広域化は進められてきているが、がれきの処理は、通常の廃棄物と同じく、がれきが発生した被災市町村に第1義的に処理責任がある。従って被災市町村では、市町村としてできる範囲でその処理を行い、できない分を被災県に委託するというのが、廃棄物処理法上の法理と言える。
その委託を受けた被災県は、処理責任を引き継ぎ広域化を進める場合、被災自治体及び近隣自治体、そして当該県で処理することを第一とし、被災自治体で処理できないものを広域化する形で行われてきた。
被災自治体と受け入れ自治体との契約関係でがれきの広域化が進められるとはいえ、この処理費用は、ほぼ100%国の交付金(=補助金)によって賄われるため、本来の事業目的に沿って事業が行われているかの検証を補助金等適正化法の観点から受けることになる。
(今回の環境省の交付金は、資源循環利用のための基金も活用しているため、資源化、再利用を第一優先にして、処理策を考えているかどうかも点検をうける。)
従って次の2点が問われることになる。
イ)被災自治体で本当に処理できないのか―広域化の必要があるかの確認。
ロ)「補助金等適正化法」で問われる事業の目的に適っているのかの審査
手続き的には、被災自治体は、発生がれきについて、自区内、広域化を問わずその処理について交付金の申請を済ませ、環境省の「査定」を受け、事業を行った後には、交付金が約束されているが、上述した イ)やロ)の点で瑕疵(ミスや問題点)があるときには、当然に交付金の支給は無くなることになる。その場合被災自治体と受け入れ自治体の責任分担に応じて、事業費の負担を行うことになる。
被災市町村からがれきの事務委託を受けた被災県は、広域化にあたっては、このように被災自治体として必要性を検証し、広域化を依頼する必要があった。ところが被災自治体及び受けて自治体ともがれきの広域化に当たってのこの法理を十分に解釈せず、国の交付金が100%支給されるという点に安易に寄りかかる姿勢が見られた。被災自治体は、必要性についての真摯な検証は行わず、一方受け入れ自治体でも、「被災自治体=岩手県が必要と言うから協力する」という説明を繰り返すのみであり、貴重な復興予算を使う事業だという認識を欠く対応が目立った。
上述したように交付金の支給に当っては、「被災自治体で本当に処理できないのか」「補助金等適正化法で問われる事業の目的に適っているのかなど」の要件を満たしていることが法令上も必要となる。その点を十分満足した委託契約になっているか。
その点を具体的に検証しながら請求理由とする。

3.環境省の広域化をめぐる状況
1)環境省主導の広域化事業が終息しつつある。
 岩手県が大阪府・市及び富山県・秋田県との広域計画を進めるにあたって、広域がれきを巡る周囲情況の変化がある。
宮城県発のがれきの広域化が、今年度(〜2013年3月31日)で終息することが今年1月10日に宣言された。全国広域化の9割を占めていた宮城県の動きとしては、発表のたびにがれきの量が削減された。
*2012年5月21日、環境省が がれきの推計量の見直しを行った。その結果約1/4下方修正した。(岩手県については、土砂を含めて増加としていたが、しかし広域化の対象としていた柱材、角材は、約35%、可燃物については約40%下方修正)
同じ日環境省リサイクル対策部が、広域化予測量を発表し、宮城県については、16都府県に広域化を図るとしていた。
*2012年8月7日、2か月半後、環境省が「工程表」(甲第9号証)を発表し、、北九州市、東京都、茨城県を除き他は実質終息というめまぐるしい動きを見せた。
*2013年1月10日、今年になって次の事実が発表される。
イ)宮城県の副知事が北九州市を訪れ、がれきの持ち込みは今年3月31日で終了し、予定していた25年度分は県内で処理できると通告し、がれきの北九州市への持ち込みを終了する宣言を行った。
ロ)同じ日、宮城県は、北九州市だけでなく、東京都、茨城県についても、24年度で終息し25年度分は中止する記者発表を行った。(甲第10号証:「「可燃性廃棄物(焼却)の広域処理の見通しについて」(H24,12現在)宮城県発2013年1月10日記者発表」)
 がれきの全国広域化は、全国の市町村の清掃工場の焼却炉を使い、木くずや可燃物を焼却する政策として進められた。当初不燃物も広域化の対象としていたが、不燃物は地元での処理に改められ、木くずや可燃物が広域化の対象として取り扱われてきた。その経過を考えれば、今回の発表によって宮城県発のがれきの広域化は、終息宣言を行ったといえる。
がれきの広域化政策自体、少なくとも宮城県で見る限りこの半年を掛けて徐々に修正し、今年になって終息宣言を行う事態に収まったといえる。(もともと宮城県発のがれきの広域化は、宮城県自体が市町村から処理委託しされていたがれきの全量を、ゼネコンからなるJVに業務委託していたにもかかわらず、広域化を図るという大変な問題を抱えていた。(甲11号証)☆4)
突然の終息宣言の理由として、宮城県は昨年11月から見直しを行い昨年12月末に分かったこととして、次の点を示した。
宮城県全体で213万トンの予定が153万トンに、約60万トン減。
石巻ブロックとして141万トンの予定が90万トンに、約51万トン減。
その結果、県内処理が可能になったと発表した。
しかし宮城県は、昨年9月議会でゼネコンJVに業務委託した契約の変更提案を行っていた。がれき量を当初契約の55%削減し、広域化対象にしていた木くずも約100万トン下方修正していた。一度契約していた内容を、大半削減するような変更提案は異例であり、処理しなければならないがれきの大半が無くなったということである。またがれきの見積もりがそれだけ杜撰だったということである。(表1)
したがって宮城県は、北九州市や東京多摩地区と昨秋新たに契約を結ぶ段階で、がれきの広域化が必要ないことが分かっていたはずである。
がれきの広域化を進める上で、必須の条件として、被災自治体で処理できないということがある。北九州市や東京都(三多摩地区)にそれぞれ2万3千トン、1万1千トン契約したが、県内での業務委託量を数百万トン減らしながら、その1%にも満たない量を広域化したこと自体、筋が通らない委託契約でしかなかった。
費用の点でも、1トン当たり、北九州市で約7万6千円、東京都で6万1千円である。鹿島JVとは約2万円で契約を結んでいたため、安く結んでいた契約を解消し、北九州市と東京都(三多摩地区)との間で、高い契約で契約し直すということになっていた。誰が考えても理屈に通らない北九州市と東京都との契約である。
この点を宮城県民による住民監査(2012年11月30日)で指摘され終息宣言に至った。いずれにせよ、環境省が主導し、宮城県が引っ張ってきたがれきの広域化政策が、その宮城県で終息しつつある。宮城県が終息に至った経過を考えても、宮城県と北九州市、東京都の委託事業が、補助金適正化法で検証された時、交付金(=補助金)が、予定通りに支給されるとは考えられず、その分自治体の損害となることが考えられる。
岩手県はこの点を他山の石として振り返り、岩手県も同様の事がないか確かめる必要はないか?

2)岩手県発のがれきの広域化の実態
宮城県だけでなく岩手県でも見過ごすことのできない事態が起きている。
岩手県のがれき処理の必要量も発表のたびに、削減されこれらの調査事業が、専門の事業者に委託されていることを考えると、現状の推計値やそこから算定した広域化必要量の見直しは、不可欠である。
従って現状で岩手県発のがれきの広域化事業も、法令に基づく審査を得て、確実に交付金の支給を受けることができるという保証は無く、このまま安易に広域化を進めれば、法令違反をチェックされ、補助金が下りず、自治体財政に穴を開けることになる。
岩手県は、宮古地区から大阪府にがれきを広域化するとし、今年2月から大阪に搬出している。富山にも4月には搬出予定である。秋田県にはすでに広域化を実施している。
宮城県で起きたことは、岩手県で起きないのだろうか?
@ 広域化必要量が再三にわたって削減
環境省のがれきの見直し(2012年5月21日)以降も、岩手県でも広域化必要量が再三にわたって下方修正されて来た。
見直し後に発表された環境省の担当部署であるリサイクル対策部が「災害廃棄物推進量の見直し及びこれを踏まえた広域処理の推進について」(H24年5月21日)で発表した広域化予定量は、約2か月後に発表された「工程表」(甲第9号証)では、大きく下方修正された。
富山県←山田町:5万トンから1万トンに。
大阪市←宮古地区:18万トンから3.6万トンに。
静岡県←山田町&大槌町:7,7万トンから2,35万トン
埼玉県←野田村:5万トンから1万トン
各自治体とも2か月で2割から3割に減っている。減ったのが2〜3割でも問題になるのが、減ったのが7〜8割である。計画そのものの見直しに入らなければならない減り方である。しかし岩手県も環境省もその点については、説明さえしていない。計画がいかに適当だったかは、岩手県も宮城県に負けないレベルだ。

A  埼玉県への岩手県野田村からの広域がれき量は減って終息した。
 埼玉県HP(甲第12号証)によると野田村からのがれきは、昨年9月6日から持ち込まれ、上述したように1万トンを処理する予定が、次のように発表されている。
「平成24年9月6日から平成25年度までの2年を予定していましたが、岩手県野田村周辺の木くず量が当初見込みよりも大幅に減ったため、上記期間(平成24年9月6日から平成24年12月25日)で受け入れを終了しました。」
 そしてこの間の受け入れ量は、試験焼却分を除き、1065トンと言う発表であった。つまり契約開始時予定していた量の10分の1になったというのである。
 環境省が、昨年5月に発表した数量から言うと約50分の1に減ったということである。
 土砂が付着した分を見誤ったとかいう理由が述べられているが、もはや釈明できるレベルの問題ではない。半年で50分の1、3ヶ月弱で、量が10分の1。がれきの広域化計画は、ざるで水をすくう様な実態であることが分かる。
 そもそも最初から広域化をする必要はなかったということになる。
岩手県の担当者は、「現在広域化を予定しているところで野田村のようなところは無いのか?」の質問に「現在数量を見直し中」と言うことである。
では見直してから広域化の必要があるのかを判断するのが先ではないか?

B 岩手県(山田町・館山町)から静岡県への広域化も終息することが発表された。
 今年1月22日、静岡新聞が岩手県から静岡県に持ち込まれる予定のがれきも予定の木屑が減り、今年度で終息することを報道した。この点を1月24日岩手県に確かめると事実として認めた。岩手県の発表としてここでも当初の77000トンから23,000トンそして35,00トンと処理予定量が減っている。

4)請求の理由
 (1) 広域化必要量の数量根拠があいまいで、広域化を進めることは無駄遣いとなる。
 大阪への広域化の金銭でも分かるように、6100トン処理するのに、総額2億8、525万792円かかる。そのうち運搬費が1億4,510万3458円かかることになっている。約半分が運送費である。このように広域化はコストの面で大きな負担がかかり、それを検証せず進めることは、大きな無駄遣いをすることになる。
  @ 埼玉県、静岡県の事例に見る数量見積もりのひどさ。
埼玉県(岩手県野田村)、静岡県(山田町、大槌町)へのがれきの持ち込みは、昨年9月以降に契約し、埼玉県は、当初の2年契約予定が、昨年12月に、静岡県も今年度で終息することになった。その理由は、広域化予定していた「木くず」が、それぞれ昨年契約時の予定量の1/10、1/7しかなく、終息を決めたということであった。
それも数ヶ月で1/10、1/7になったということである。
この調査は、いずれも岩手県が専門の調査会社「応用地質(株)」に調査させたものと言うことである。
そして埼玉県に持ち込んだ野田村の場合がれきの処理量が減った。約1万トンから約1000トンになった理由として以下の3点を先の埼玉県のHP(甲第11号証)上で挙げている。
*重量計算に当たっての比重が予測より低かった。0,55トン/m3→0,25〜0,30トン。
*柱材・角材の山は、100%と予測。実態は、土砂付着。
*混合物は、可燃物10%と予測。しかし2,5%
といったことが書かれてあった。
 つまり目の前に積みあがっている柱材や角材から木くずの重量を推定するときに
一番基本になる容積あたりの重量を示す比重を間違い、がれきの山の下に土砂の山があったことを見落とし、混合物に混入している可燃物の量を4倍近く見誤ったというのである。そしてそれらを加算して実際の量を10倍も間違えたというのである。
 しかし測定したのは、役所の職員ではなく、専門調査会社である。これでは税理士に頼んだが、計算を間違え、その理由として「その税理士はお金の計算は不得意でした」と答えたに等しい理由である。
 実際仙台市の場合、当初がれきの総量は135万トンと推測し、処理を進めた後も最後まで処理量は変わらなかった。そこまでは無理としても、10倍間違えたというのは何が起こっていたのかを改めて検証する必要のある間違いである。
 今回の場合がれきの処理には、交付金(=補助金)が100%つくことになっている。したがってがれきの処理量は、そのまま金銭に換算されることになる。
ところが一番基本になるがれきの量が、10倍も間違えている。しかも静岡県でも同時期に7倍も間違えていた。
 さらに岩手県発のがれき広域化に係わるところは、宮古も含め同じ調査会社が担当しているという。
 当然他の県、大阪や富山、秋田に出すにあたっても同じ間違いを犯していることが考えられる。その点を調査せず、現状のまま広域化の計画を進めることは、明らかに意識的に無駄遣いをするものと指摘されるだろう。それは犯罪行為にもなる。

(2)岩手県発のがれき広域化量の見直しをせず広域化を行うことは、違法処理となる。
大阪、富山県、秋田に持って行く分についても、再調査すれば、極端に減ることが確実に予想される。処理必要量を再調査の上見直せば、それに基づき、「処理必要量」「県内処理可能量」の確定を行い、「広域化必要量」について定めることになる。
1月25日、岩手県知事への「岩手県は広域化を見直しするつもりはないか」という質問に「比重との関係で現在精査中」と答えている。(甲13号証)
岩手県は、まずがれきの量の「精査」を行い、広域化がそもそも必要なのかを検証し、必要量を換算し、広域化しなければ、違法処理となる。

(3)県内処理の確定の上で広域化の必要性の検証が行われていない。
がれきの処理量=処理必要量についての算定にあいまいなことに加え、県内処理でどれだけ処理が可能かついても岩手県は曖昧にしている。
岩手県の県内での処理可能量は、岩手県発表の「岩手県詳細計画・改訂版」(2012年5月)のP49には、岩手県では、
@)既設の清掃工場の焼却炉 日量 225トン
A)仮設焼却炉       日量 195トン
B)セメント工場での処理  日量 770トン
と日量1190トン処理できることが示されている。
もともとのがれきの発生量やその後のがれき処理量の算定値から行って、県内で日量1190トン処理すれば、十分に県内処理で処理できるという計算が成り立つ。静岡県に市民団体からそのような質問が出されていたが、その後埼玉県や静岡県で大幅ながれき(=木くず)の下方修正がなされた。計り方の基本に間違いがあったということであり、新たな計り方で測定すれば、処理必要量は大幅に減ることが予想される。県内処理可能量を示し、広域化が必要かを数字上も示すことが求められている。そのことなしには、やはり広域化は違法処理となる。

(4)木くずがなくなって、木くずを主にする可燃物がなぜ広域化できるのか?
現在、広域化実施中の秋田県、そして富山県へは、それぞれ野田村と山田町から「木くずを主にした可燃物」を持ち込み、持ち込む予定である。すでに報告したように野田村と山田町は、埼玉県と静岡県に木くずを運び、木くずは、無くなったため、広域化の必要が無くなったと終息宣言を行っている。
では、木くずが無くなっているのに、なぜ「木くずを主にした可燃物」が広域化できるのかまったく論理的な説明は行われていない。
「木くずを主にした可燃物」というのは、国語的な意味からは、少なくとも木くずが過半を占めなければならないが、その「木くず」がない中で、「木くずを主にした可燃物」を用意することは、神でも不可能なことである。

5)禁止されている再々委託の契約書が明らかになった(甲4号証、5号証、甲14号証)
@ 岩手県と大阪府&大阪市
通常廃棄物処理法では、再委託は禁止されている(廃棄物処理法施行令4条の3号)が、今回の震災廃棄物の場合政令(H23、政令第215号)に基づき再委託が行われていた。しかしこの震災廃棄物についても再々委託は、法令で禁止されていた。
岩手県からの大阪府への委託は、大阪市に再委託した後、さらに2業者(今里衛生協同組合、ショベル工業株式会社)に再々委託し、この契約書自体法令違反である。
岩手県から大阪府・大阪市への委託は、岩手県からの処理委託を受けた大阪府が、再委託先として岩手県から大阪市の舞洲清掃工場まで運送する運輸業者と焼却と埋め立て処分する大阪市を、岩手県との契約書(甲第2号証)第2条で指定している。
ところが、大阪市は、災害廃棄物を舞洲工場で焼却した後の焼却残滓と焼却灰の運搬処分を、業務委託契約書(甲第4号証)で今里衛生協同組合に委託し、また埋め立て処分を契約変更承諾書(甲第5号証)でショベル工業株式会社に委託している。
そしてこの委託にあたっての仕様書を「災害廃棄物等の焼却によって生じた焼却残渣処分 業務委託(概算契約)」(甲第12号証)としてまとめていた。
岩手県からがれきの処理委託を受けたのは、大阪府であり、その大阪府から再委託先として処理委託した大阪市が業者に委託していれば、それは再々委託となり、法令違反となる。 
従って今回の岩手県の大阪府と大阪市への処理委託契約は、廃棄物処理法の法令に違反し、地方自治法第2条15項「自治体は法令に反する事業を行ってはならない」に違反する。
今回の受け入れは、震災がれきの処理の委託において、法令的にも禁止されている「再々委託」を組み込んでおり、契約上の違法性を含む。
したがってこのような事業の推進は、自治法の違反であり、また交付金を得ることができないことから自治体の損失をもたらす。即刻中止すべきである。

4.まとめ
宮城県発のがれきの広域化は、今年3月で終息することになった。
岩手県でもがれきの広域化を、必要性を検証することなく進め、その結果埼玉県、静岡県へのがれきの広域化は、終息することになった。
理由はがれきの量が、再調査の結果大幅に無くなったということが分かったということである。だが、その同じ岩手県でまだ大阪や秋田にがれきを運び、富山には新たに運び出そうとしている。
がれきの広域化は、大阪の事例でも分かるように運送費が過半を占める。税金で手当てすることを考えたとき、当然必要性を十分検証し、政策を進めることが求められるが、今回請求理由で述べてきたようにまったく杜撰に進められてきた。
被災自治体では、多くの方が未だ避難生活や仮設住宅住まいをし、事業再開のめどの立っていない人がいる。復興資金は、どれだけあっても足りないような状況にある。そうした中で無駄ながれきの広域化が行われるのは許されない。
この事実を隠し、またよく確かめず、費用が高い広域処理契約を進めるのは、自治体として許されず、廃棄物処理法第6条の二、地方自治法第2条14項にも違反する。これは被災地の復興予算を他に流用すると同様に、問題がある。
即刻契約を解除し、当該行為を止めることを求める。以上地方自治法242条に基づき
書証を添え、住民監査請求を行う。

表1  宮城県(石巻ブロック)の鹿島JVとの業務委託契約の変更内容
1処理量(県の業務対象量) 単位:万トン
変更前 変更後 増減
木くず 115 4 -111
混合物(可燃・不燃) 431 223 -208
コンクリートくず 112 62 -50
アスファルトくず 19 1 -18
金属くず 8 6 -2
その他 ― 14 14
小計 685 310 -375
津波堆積物 292 43 -249
合計 977 353 -624
書証一欄

甲第1号証:東日本大災害により発生した被災地の廃棄物処理に関する基本合意書
甲第2号証:災害廃棄物処理業務委託契約書(岩手県&大阪府)
甲第3号証:廃棄物処理業務委託契約書(大阪府&大阪市)
甲第4号証:再々委託関連 業務委託契約書(A型)契約番号 大環境 第環39027号 
大阪市と今里衛生協同組合(平成24年11月15日)
甲第5号証:再々委託関連 契約変更承諾書 大阪市環境局あて、ショベル工業株式会社
      (平成24年11月20日)
甲第6号証 岩手県と富山県との災害廃棄物の広域処理の基本的枠組みに関する覚書
甲第7号証 富山県のがれきの本格受け入れの決定を伝える新聞報道 富山新聞(2013年2月20日)
甲第8号証:岩手県と秋田県とのがれき基本協定
甲第9号証東日本大震災に係わる災害廃棄物の処理工程表、環境省(2012年8月7日)
甲第10号証:「がれきの広域化処理も復興予算の流用だ」週刊金曜日2012年11月23日号
甲第11号証:「可燃性廃棄物(焼却)の広域処理の見通しについて」(H24,12現在)宮城県発2013年1月10日記者発表
甲第12号証:岩手県 野田村からのがれき終了 埼玉県HP
(掲載日2012年12月26日更新)
甲第13号証:岩手県知事への質問書への回答(2012年1月○日付)
甲第14号証:大阪:再々委託関連 仕様書「災害廃棄物等の焼却によって生じた焼却残渣処分 業務委託(概算契約)」
















岩手県監査委員殿

1.請求の趣旨
岩手県知事に対し、がれきの広域処理に関する違法な公金の支出に対し、地方自治法第242条の第1項に基づき住民監査を行い、当該行為を防止し、当該契約を是正することを求める。
請求者
住所
職業
氏名 印  
住所
職業
氏名 印  
住所
職業
氏名 印
住所
職業
氏名 印
住所
職業
氏名 印
注釈☆1〜☆4


☆1&☆2
事務委託は、市町村が保有する事務事態を委託するもので、今回の場合、被災市町村が、当該都道府県に委託した分が、これに当たり、地方自治法第252条の14の適用を受ける。
その場合、委託に当っては、地方公共団体は、規約を設け、「委託と受け入れ先の自治体」「委託事務の範囲、管理執行の方法」「経費の支弁方法」「その他必要事項」を銘記する必要がある。(同法第252条の15)
また一般廃棄物の処理の委託については、廃棄物処理法第6条の二の2項に記載されているように「政令」に基づき委託する。
この処理の委託については、通常は、再委託は禁止されているが、震災廃棄物については、その緊急性などを勘案して、特例措置(政省令H23.7.8)により、処理委託された受託者が、再委託することを可能にしている。(再々委託は禁止されている)


☆3 がれきの広域化処理についての法令的根拠
 @ 被災市町村が処理責任
震災がれきの広域化処理は、国の旗振りによって進められてきたが、国がこの広域化処理を行うのではない。
震災がれき(震災廃棄物)は、廃棄物処理法上は、事業者が処理責任を負う産業廃棄物を除き、一般廃棄物として定義される。市町村は、その区域内から発生した一般廃棄物を、「生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し処分しなければならない」(廃棄物処理法第6条の二)とあり、被災自治体(市町村)が処理責任を負う。
従って広域化は、処理責任を負う被災市町村が、処理できない分を他の自治体に委託するという形で行われる。
委託には、自治法上の事務委託と廃棄物処理法上の処理委託があるが、今回の場合、被災市町村が処理できない分を、当該被災県に事務委託し、委託を受けて被災県が、他の都道府県やその他の財団法人に処理委託するという形を取っている。
このため、広域化は被災自治体と受け入れ自治体による委託契約の下に行われ、処理費用は、国の交付金(補助金)によって賄われる仕組みとなっている。

A 広域化の基準ないし指標
 被災自治体が行うがれきの処理については、自区内で行うもの、広域化をするものを問わず、環境省が定めた期限内(H26年3月31日)で行うものについては、ほぼ100%の交付金が支給される。
 震災がれきについて被災市町村に処理責任があることから言って、広域化にあたっては、被災自治体での処理が前提となり、被災自治体で処理できない分を広域化するというのが広域化にあたっての大原則になる。
実際処理費用という点で考えても、一般的には自区内で処理するものに比べて、広域化は運送費が余計にかかり、これらを交付金で賄うとなれば、一定の制限が設けられるのは、必然の流れと言える。
交付金を支給する側の環境省は、それについて以下のように発表している。
環境省の「損壊家屋等の処理の進め方指針」(環境省資料H23.3.29)では、「市町村内の中間処理施設での処理可能量が処理必要量を下回っている時には市町村外の中間処理施設の処理の可能性を検討する。」
環境省マスタープラン(H23.5,16)「4.処理方法」「(2)広域化処理の必要性」では、「東日本大震災では、膨大な量の災害廃棄物が発生しているが、被災地では処理能力が不足していることから、被災地以外の施設を活用した広域処理も必要」
また被災自治体の岩手県は、環境省の「東日本大震災に係わる災害廃棄物の処理工程表」(2012年8月7日)のなかで「平成26年3月末までの処理完了を目指し、・・・・県内処理を最大限進めているが、なお処理が間に合わない分について、広域化処理を活用する」としている。(甲第4号証:東日本大震災に係わる災害廃棄物の処理工程表、環境省(2012年8月7日))
また過日の総選挙にあたり、達増岩手県知事は、「・・・県内の処理施設だけでは、期限内に処理することができないことからどうしても広域処理をお願いせざるを得ない状況となっている。」と語っている。(メールへの岩手県知事からの回答)
また今回の岩手県と大阪府との契約(甲第2号証)が前提としている基本合意書(甲第1号証)では、「東日本大震災の被災地である岩手県の早期復旧・復興に必要不可欠な被災地の廃棄物の処理を、安全性を確保し、相互に協力して実施するため」との記載がある。
要するにこれらの文書が示す広域化の条件は、「期日までに処理するために」「被災地の処理能力では不足し、不可能な時に」広域化をするとなっている。

B 補助金等適正化法
被災自治体は、交付金の支給を受けるために、震災がれきの処理にあたってはまず、環境省に対して交付金の申請書を提出する。
環境省は、それが妥当な場合には、その旨「査定」する。環境省の査定を受けた当該自治体は、がれきの処理事業を行い、事業にかかわった業者に支払いを済ませ、改めて交付金の支給を申請する。
被災自治体の震災がれき処理に対してほぼ100%交付金が支給されるとしても、このような手続きが取られ、業者に支払いを済ませた後、当該自治体から交付金の支給申請が行われ、交付金を支給するかどうかを環境省が判断したうえで、交付金が支給される。
その際「補助金等に係わる予算の執行の適正化に関する法律」第六条では、次のように定めている。
『 各省各庁の長は、補助金等の交付の申請があったときは、当該申請に係る書類等の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、当該申請に係る補助金等の交付が法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか、補助事業等の目的及び内容が適正であるかどうか、金額の算定に誤がないかどうか等を調査し、補助金等を交付すべきものと認めたときは、すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。 』
このようにがれきの広域化事業は、被災自治体の側でがれきの処理に困り、そのがれきの処理が進まなければ、被災地の復興が進まないという点を考えた受け入れ自治体による支援策である。
補助金適正化法に従えば、今回の広域化事業が、本来の趣旨を踏まえて行われているのか問うことになり、目的が法に違背しないか、合理性があるのか?が問われ、それに適合しなければ、交付金が支給されなくなる。

☆4
がれきの広域化に当っての国家予算は、架空の瓦礫を予算化
 基準を設けることを怠った環境省は、広域化予算を成立させるに当って、架空のがれきを根拠にしていたことが分かった。
 この問題について、事実解明が進み、国会などでも取り上げられてゆけば、広域化政策自体の行方が曖昧になる。受け入れ自治体として独自の検証が必要である。
 がれきの広域化は、当初宮城県と岩手県両県で、400万トンが必要と発表された。宮城県はその内約9割を占め344万トン、岩手県は57万トンと発表され、昨年3月16日には、総理大臣名と環境大臣名での広域化要請が都道府県知事あてに通知された。
 この予算措置がなされたのは、一昨年の11月21日、第3次復興予算の成立による。
明らかになった大変な事実とは、宮城県の石巻ブロックは、広域化予定量のほぼ大半を占める293万トンを算定していたが、宮城県が石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)の3市町から委託されていた685万トンは、国家予算成立前の9月16日に、全量鹿島JV(ジョイントベンチャー)に業務委託していたという事実である。(表1参照)
 宮城県には、11月21日の時点では、石巻ブロックとして広域に回すがれきは、1トンすらなかった。つまり、国家予算として前提とした293万トンは、全くの架空の数字であった。その他宮城県は、石巻ブロックだけでなく、他の3ブロックも複数のゼネコンからなるJVに全量委託し、宮城県発の344万トン自体が架空の数字だったということである。
 この件は、昨年週刊金曜日でも取り上げられた。(「がれきの広域化処理も復興予算の流用だ」2012年11月23日号)
 被災地への交付金の支給の仕組みから言うと、石巻ブロックの鹿島JV他、宮城県全域のゼネコンJVへの業務委託分は、交付金から支給される。そのため、国家予算に計上された344万トンは、2重に計上されることになり、そのまま予算通りに広域化が進められていれば、国家予算の詐取行為として刑事事件になったような大問題である。
広域化処理に1トン当たり7万円弱かかると仮定し、約2500億円にも上る架空の広域化予算を計上したこの事件は、宮城県石巻ブロックからがれきを運んだ北九州市の市民検討委員会や住民の知るところとなり、宮城県や北九州市への通知や訴えとして事件が発展した。
その結果、宮城県は、昨年9月議会でゼネコンとの契約を変更した。(宮城県HP( http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/91313.pdf )(表1)
同週刊金曜日の記事によると、昨年10月26日村井嘉浩宮城県知事は「2重契約の誹りを受けることにならないか」の問いに、「鹿島JVによる処理対象量が、減少する分(のがれき)は、当然のことながら契約変更によって調整されており、その結果2重に払うことはない」と答えている。
問わず語りに契約変更前は、2重契約の違法を犯していたことを明らかにしたと言える。
このように今回環境省が旗振りを行ったがれきの広域化は、これらの事実から広域化予算が成立した時点で、少なくとも約9割が、架空計上された予算であり、この点は今後国会等での事実解明が進めば、予算自身の見直しや交付金支給の見直しの可能性すらある。司直の検証が入れば、この点の可能性がもっと強まることになる。
「被災自治体が必要と言っている」と言う指標の下では、進められない事態にある。












表2 宮城県と石巻Bのがれき量の推移 単位万トン
    当初 見直し後
    発生量 県受託量 広域化計画 発生量 県受託量 広域化計画
宮城県  1819,4 1107 344 1200,4 676 127
 石 石巻市 638,3 581 ― 445,8 308 ―
 巻 東松島市 156,8 84 ― 83,8 3 ―
 B 女川町 51,2 21 ― 28,6 1 ―
  計 846,3 685 293 558,2 312 73(*1)
(計は石巻Bの計)


表の出典
*発生量(当初):「災害廃棄物処理施設建設工事等を含む災害廃棄物処理業務(石巻地区)の概要(H23.9.16宮城県生活環境部)」
*県受託、石巻B受託量(当初&見直し後):「宮城県H24年5月21日記者発表資料」)
*発生量(見直し後):「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(H24年5月21日」(環境省)
*広域化計画量(当初):環廃対発第12031600号&別紙 (
*広域化計画量(見直し後):「災害廃棄物推進量の見直し及びこれを踏まえた広域処理の推進について(H24年5月21日)」環境省リサイクル対策部 

















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