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zoom RSS 宮城県住民監査請求に対する「監査結果」について   2013年2月18日 青木泰

<<   作成日時 : 2013/03/25 13:21   >>

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宮城県住民監査請求に対する「監査結果」について    2013年2月18日  環境ジャーナリスト 青木泰



 平成24年11月29日に行った「がれき広域処理」に関する違法で不当な契約締結と公金支出に関する「監査請求」に対する「監査結果」が、1月25日付で請求者に届けられた。(請求人は、宮城県民の高橋良・森田真実両氏)
 監査結果は、25ページにも上る丁寧な報告となっている。すでにこの監査請求の後、宮城県は、がれきの処理必要量の再調査を行い、可燃系のがれきの量が141万トンから90万トンに減ったこと、県内処理できる量が増えたことなどを理由に、1月10日付で宮城県は、がれきの広域化を今年度(〜2013年3月31日)で終了する旨を宣言した。
 監査請求自体は、その意味で大いに効果があったと言えるが、どのような内容の判断が下されていたのかを、監査結果のPDFを添付し、明らかにしたい。



 1)監査結果の概要
監査結果は、「監査請求」を却下するという「判断」を示しながら、請求人の請求に対して、<参考>と言う形で、意見を述べている。
「判断」の根拠は、判例(*1)を示し、自治体に損害が発生しないものについては、住民監査請求はなじまないという主張を行っている。平たく言えば、今回の災害がれきの広域化については、かかった費用は100%国の交付金(=補助金)で賄われるため、自治体の財務に係わる住民監査請求になじまないという主張である。
しかしこの判断は、判例を勝手に「住民監査請求については県に損害又は損失が発生し得る財務会計行為であることが用件となっている」と狭く解釈し、今回の事例に当てはめたもので、国の補助金が100%出ているものには、地方自治法の住民監査請求はできないという暴論(珍説)になっている。
また<参考>は、請求人が提起した「広域化処理の必要性」「委託価格」「北九州市搬出分の契約の再々委託、二重契約」「東京都搬出分」についての記載がある。これらの個別の検討についても、問題はないとしている。
しかし今回の監査請求については、要点として2つの点を請求によって訴えた。
@  宮城県では、県が市町村から委託を受けていたがれきの処理は、石巻ブロックに代表されるように、ゼネコンで形成されるJVに業務委託していた。従って「広域化処理の必要性」は無かった。広域化を進めれば、宮城県は既に業務委託していたがれきを、広域化名目で持ち出すことにより、2重契約になった。2重契約になることは宮城県自身も意識しそれを避けるために、昨年(2012年)9月の県議会で契約変更議案を提案し、がれきを55%も削減契約した。
A  そして契約変更前後に締結した北九州市や東京都(三多摩地域)との再契約は、ゼネコンJVとの契約額を数倍上回る再契約を行っていた。つまり安く結んでいるがれきの処理契約を、高い契約に結び直すという前代未聞の契約だった。
監査結果の判断は、この点に答えることなく、「判例」を持ち出し抽象論で逃げ、<参考>の中で、申し訳程度に各論に触れている。
おそらく各論から入った時には、監査委員会としても行政を擁護する論理展開が不可能だったのであろう。その結果、監査結果では、却下しながら、一方で宮城県全体の終息を促し、今回のような終息発表となったと考えられる。



 2)「判断」の間違い
監査委員会の「判断」は、「今回の災害廃棄物処理に関する財源は、・・・全額が国の財政措置を受けた市町からの支出であるから、県に損害や損失が発生することはない」と断じている。
よって立つ判例として、総選挙の選挙事務費用は、国が100%費用を持つため、それに係わる自治体への住民監査請求が却下された判例(*1)を引き合いに出している。
しかしこの「判断」は、次の点で明らかに間違っている。
@ 今回のがれきの広域化事業は、被災自治体と受け入れ自治体の委託契約によって行われ、自治体が主体の事業となっていること。国の関与は、これに対して交付金を100%出すというものであり、あくまで主体は被災自治体そして受け入れ自治体である。
従って、基本になるのは自治体の事業であり、その事業が補助金等適正化法に基づき、適法にかつ合理的に行われなければ、補助金は出ないのである。従ってその点から言えば、国からの交付金は100%出るわけではない。監査委員の判断は、この仕組みを理解していない瑕疵がある。
A また監査請求の対象は、財務会計上の行為となっていて、それには公金の支出(支出負担行為、支出命令、支出)のみならず、「財産の取得、管理、処分」「契約の締結履行」「債務その他の義務負担」なども含み、(*2)今回の請求では、契約内容も問題にしているが、その点も視点として欠落させている。
B @とAの点から言っても監査委員会の「判断」は、今回の事業についての誤った認識と、住民監査請求が対象とする法律的解釈において誤った認識の下に下した「判断」と言える。



3)<参考>で示された見解の問題性
@ 事実誤認の前代未聞の記述
<参考>では、請求人が提起した「広域化処理の必要性」「委託価格」「北九州市搬出分の契約の再々委託、二重契約」「東京都搬出分」についての記載がある。何と言っても問題なのは、「がれきの処理についての終息時期」について事実誤認の記述が見解として示されている。
 「広域化処理の必要性」の記述で、「これらの事情を勘案すると平成26年3月末を目途として災害廃棄物処理を進めるとした県の方針は、妥当である」
との記載がある。
 監査委員の判断は、「県の方針」が「妥当」と言う点に集約されるが、その県の方針は、監査請求が提出された時点(2012年11月29日)では、確かに「平成26年3月末を目途として災害廃棄物処理を進める」と言う見解であった。しかし監査請求中の2013年1月10日には、再調査の上、可燃ごみ量が141万トンから90万トンになったこと、県内処理の見込みがついたこと、そこで広域処理は平成25年3月末で終息を発表していたのである。
従って監査委員会は、宮城県から事実と異なる報告を受け、判断していたということができる。宮城県が訂正報告した内容に基づいて判断していれば、「必要性は無い」と言うことになった筈である。
事実内容を違えて監査結果とする。前代未聞のミスといえる。

A 広域処理の必要性と委託価格について
監査結果では、委託価格が高くなっている点について「鹿島JVへの委託価格…と比較すると高くなっていることが認められるが、」「早期処理のための県外処理を行ったことについて、違法性、不当性があるとは認められず、…請求人の主張は当たらない」としている。
ここでの論法は、結局「広域化の必要性」を県の主張に沿って認め、全て了承するという論であり、広域化の必要性について実態に即して検証した後は無い。
また高い委託価格であるにもかかわらずなぜ委託したのかと言う説明は、県側の主張としてすら説明されていない。
住民監査請求は、財務会計上の公金の支出について、適法に行われたか、不合理性、不当性は無いかについて検証を求めるものである。
廃棄物処理法で言うと、第6条の二「市町村は…その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分しなければならない」が定められている。
また自治法上では、第2条15項「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない」に照らしての適法性が問題となる。
今回の震災がれきは、一般廃棄物として定義されているため、第1義的には被災自治体(市町村)が処理する義務を負い、処理できないものを当該県に事務委託するようになっている。
従ってまず法律上問われるのは、被災自治体で、がれきの発生量を調査・推定し、処理できる量を予測し、その上で広域化必要量を算定しているかと言うことである。
今回の監査の中では、こうした整理のための問いかけすら監査委員から行われていない。がれきの処理に対して国から交付金が出ることを考えたとき、処理量=お金である。そのお金の行くへを検証せず何の監査か?
その点を欠如させていれば廃棄物処理法第6条の二の違反であるばかりか地方自治法第2条の15項の違反である。
広域化は必要だという結論を出し、無条件で呑んでしまう対応では、監査委員の役割を果たしているとは言い難い。
また委託費用の問題は、自治法上で言うと自治法第2条第13項「地方公共団体は・・最小の経費で最大の効果を上げるようにしなければならない」に照らしての適法性が問題となる。
がれきの処理は、地元の処理が運送費が掛からず安くなるのは、ものの道理であり、がれきの広域化は、地元での処理ができないこと、地元での処理ができても緊急性に欠け、その緊急性が必要不可欠であることの立証が必要であった。
その点の検証を欠き、「広域化は必要」との認識の下、したがって多少高くとも良いという結論を示すのは、これまた監査委員としての資格を疑わせるものである。
B 北九州市搬出分の契約について
この中で監査委員は、「2重契約」について触れ、「上記二重契約か否かは、別としてそもそも二重契約であっても、双方の契約が両立できるものであれば法的に問題はない」と言うここでも監査委員の役割を忘れた主張を述べている。
2重契約は、法律違反である。住民監査は、県が被る直接的な損害・損失についてだけでなく、契約上の法律違反をチュックするようにしているのは、法・規則を踏まえないやり取りの裏には、私的な利害得失、利権の動きがあり、それはとりもなおさず、地方公共団体の損失に繋がるからである。
今回の場合も、宮城県は、石巻ブロックのがれきを鹿島JVに処理委託していたが、普通に考えたとき、委託を受けた鹿島JVが、仕事を他に回すのを賛成するはずはない。賛成するとしたら宮城県側が鹿島JVが納得す「手立て」を打っているはずである。
今回の住民監査請求では、そこまで事実解明は出来ていないが、(それは今後司直による捜査やオンブズマン等の調査を待たなければならないが、)昨年9月の契約変更において、55%もがれき量が減り、津波堆積物まで含めると64%も処理量が減っているのに、変更に伴う契約額の減額は、1923億6000万円から1482億6156万円と約440億円、22%の減額でしかない。
すでに設備していたプラント関係の費用を差し引いても、鹿島JVに配慮し過ぎの契約変更と見るのは私だけであろうか?
監査役がしっかりしないとざるで水をすくうような復興資金の使い方になる。




4)まとめ
 今回の監査請求の最大の成果は、監査請求を前後して、宮城県が従来の方針を変え、環境省の広域化方針の継続意思を振り切って、今年3月末=今年度で北九州のみならず、東京、茨木もがれきの広域化を終息させると宣言させたことにある。
 監査請求が問題にしたのは、がれきが減っているのに、全国に持って行く必要があるのか、なぜ全国の市町村の清掃工場の焼却施設まで運び、高い金をかけて広域化しなければならないのかと言う点だ。そのようなところに余分なお金をかけるのなら、被災地の復興資金に回すべきだというということだった。請求人は宮城県民の声を代表して請求したといえる。
がれきの総量が減り、広域化の8割以上を占めていた石巻ブロックが、すでに契約していたがれき量で55%、津波堆積物まで含めて64%も削減した。環境省と宮城県によるがれきの広域化は、昨年8月から9月、このような状況になったにもかかわらず、北九州市へのがれき搬出を強行し、東京と多摩地区との新たながれき搬出契約を結んだ。彼らにどのような正当化できる理由があったのか?疑問だ。
がれきの処理費は復興資金から拠出され、復興資金は国民からの復興税の徴収を経て資金確保された。もちろん一銭たりとも無駄な使い方は許されなかったはずが、官僚たちはまるで自分の金であるかのように無駄な遣いかたを行った。
宮城県県民による住民監査請求は、この無駄遣いを監査に問うた。
その結果とりあえずがれき広域化はストップできたが、今回指摘した問題点は、まだ残っている。
* 1:大阪高等裁判所、平成2年5月31日判決、平成元年【行コ】第7号
*2:「住民訴訟」著作伴義聖・大塚康男 発行ぎょうせい P76 第5節(住民訴訟の対象)より

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