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zoom RSS 緑の情報特版NO7 ― 見えてきたがれき広域化の違法構造 −

<<   作成日時 : 2012/12/19 17:21   >>

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緑の情報特版NO7 ― 見えてきたがれき広域化の違法構造 −
100万トンの「木屑」が消えた。
2012年12月7日 環境ジャーナリスト  青木泰


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100万トンもの木屑が忽然と消えてしまった。昨年9月の契約時点で、115万トンあるとされた宮城県石巻ブロックの震災がれきの中の木屑が、今年9月の契約変更では、4万トンに減ってしまっていた。表1(宮城県HPより)
木屑は、環境省提唱のがれき全国広域化の主要素材である。全国の市町村の焼却炉を使って、木屑を焼却したいとしてきた。島田市の場合、今年2月に行われた試験焼却では、きれいに洗浄された木屑が、運ばれてきたが、5月の本格焼却実施の時には、コンテナを空けてみると木屑のはずが、75kgもあるコンクリートの塊や石ころが中に入っていて大騒ぎになった。
環境省が「がれきと言っても、木屑であり、焼却しても問題ない」と言っていた木屑である。広域化は、県内処理をしても処理しきれないから全国の市町村にお願いするということだった。県内処理分で予定していた木屑のほぼ全量が、無くなったということは、当然広域化の必要性を左右する問題となる。
宮城県が契約相手である鹿島JVに115万トンあると契約を結びながら、実際は4万トンしかなかったという。にわかには信じられない事態である。何が起きているのか?科学的に調査し、その問題を指摘して行きたい。
表1宮城県(石巻B)の鹿島JVとの業務委託契約の変更前と後の内容

1、処理量(県の業務対象量)        単位:万トン

変更前 変更後 増減
木くず 115   4 -111
混合物(可燃・不燃) 431 223 -208
コンクリートくず 112  62  -50
アスファルトくず  19   1  -18
金属くず   8   6   -2
その他  ―  14   14
小計 685 310 -375

津波堆積物 292  43 -249

合計 977 353 -624

(2.契約金の変更:1923億6000万円から1482億6156万5,550円)

1)消えたのは木屑だけではない
被災2県の震災がれきは、基本的には市町村で処理し、処理できない分を当該県に委託し処理する方法を取った。宮城県は、県内14市町村から委託されたがれきを4つのブロック(石巻,気仙沼,名取・亘理,宮城東)に分けて処理した。宮城県の大半を占める石巻ブロック(=石巻B)のがれきは、石巻市、東松島市、女川町から委託されたものだが、表2で見るように県が受託した量は、685万トン。そのすべてを表1で見るように鹿島建設(株)などの大手ゼネコンからなる鹿島JV(ジョイントベンチャー)に業務委託していた。
(表2で示したように、環境省は当初宮城県全体で、広域処理が必要なのは344万トン、その内石巻ブロックのがれきは293万トンと計画を立てていた。県が受託した石巻Bがれきが、全て鹿島JVに丸投げ委託している以上、広域化の必要はなく、293万トンは全く架空の数字だったが、この件については後述する。)

画像


宮城県が、今回示した鹿島JVとの契約変更の内容は、表1に示した通りだが、変更前後で、委託するがれき量(小計)は、685万トンから310万トンに、半分以下に削減し、津波堆積物まで含めると合計量は、977万トンから353万トンに、約65%も削減する計画となっている。委託金額も約2割削減する契約変更提案が、9月議会に提案された。
今回の契約変更は、がれきの発生量の見積もり間違いが切っ掛けになっているが、発生量自体で見ると減少分は、石巻Bや宮城県全体とも34%減でしかない。

石巻ブロックは
 当初      846万3千トン
 見直し後    558万2千トン
 差       288万1千トン (△34%)
また宮城県全体で見た時、がれきの発生量は、
当初      1819万4千トン
見直し後    1200万4千トン
差        619万トン(△34%)

ところが、宮城県の鹿島JVとの契約変更は、がれきで55%減であり、発生量の見込み違いに加え、さらに20%近く当初の見積もりが過大になされていたことが分かる。これはミスで済まされるレベルではない。
震災がれきの処理については、今回当該市町村に環境省からの交付金が、ほぼ100%支給される仕組みになっている。従って「がれきの量」は、すなわち「お金」と考えてよい。がれきの第三者的な調査が必要な推計予定の誤りと言える。
鹿島JVとのがれきの契約は、
@ 市町村が集積した「1次仮置き場」から「2次仮置き場」に運び、
A 選別して破砕し、再生利用や焼却などの処理を行い、
B 埋め立て処分行う
ことになっている。
それに伴って選別装置、破砕装置、焼却装置も設置されてきた。
しかも契約上の期限は、3年以内に処理することになっているため、少しづつ処理してゆくというよりは、短期間に処理しなければならず、その分処理量が大きな装置が設置されている。
がれきの発生量の見積もりの誤り、それに加え、石巻ブロックのがれき委託量の間違いのために、普通に考えれば2倍以上の設備投資にお金を使ったことになる。
発生量の見込み違いに加え、20%も見積もりが過大に行われ、入札予定価格が高く引き上げられた責任は、だれが取るのか?

2)木屑は、97%も削減された。
石巻ブロックのがれきの量は、実態より2倍以上にも見積もられていたが、木屑の量はそれ以上に過大に見積もられ、当初の予定されていた木屑の量(115万トン)から97%も削減された量(4万トン)が契約変更にあたって示された。
宮城県の石巻ブロックの担当者に「なぜ当初見積もった木屑が、それだけ大量に無くなったのか?」と聞いてみると
「1年以上野ざらしにしていたため、腐敗発酵して殆ど無くなった」と言う説明が返ってきた。水にぬれていたため、発酵したという話だが、1年で木屑が発酵して水蒸気とガスになって消えるのならもともと木屑は、全国に運んで焼却処理することはない。
大変非科学的な説明だったので、「そんなことがありえるのですか?」と尋ねると「実際に各所で木屑を積み上げたところから発酵による火災が発生している」と言う懲りない返答が返ってきた。一部特殊な条件のもとで起きた事例を、どこでも起きると勝手に敷衍する何とも乱暴な説明である。
結局宮城県の説明では、木屑は115万トンあったかは別として、木屑は当初大量にあり、それが現状で5万トンになったのは、腐敗発酵した所為と言う説明である。

3)木屑がないことを発表したのが何故今年の9月なのか?
それにしても、宮城県と鹿島JVとの契約は、昨年の9月であり、115万トンあった筈の木屑が、5万トンしかなかったことを発表したのは、1年経過した今年9月である。その間木屑の処理は、行なわれていた訳でなぜ気が付かなかったのか?
プロポーザル審査にあたっての鹿島の技術提案書によれば、昨年9月の契約後鹿島JVは、10月から仕事に取り掛かることになっていて、今年3月までの間に、木屑は15万6千トン処理することになっていた。
それが全体でも4万トンしかなかったのなら、少なくとも、今年の3月には、木屑がないことが分かっていたはずだ。しかしそのようなことは何ら発表されていない。
それどころかその時期、国や環境省は、全国の自治体、都道府県や市町村に対して広域化の受け入れに協力するように呼び掛けていた。
野田総理は、閣副第168号で都道府県知事に対して「現地では、全力を挙げて再生利用や仮設焼却炉の設置による処理を進めていますが、それでも…処理能力が大幅に不足しています。」「被災団体以外の地方公共団体に対する広域的な協力の要請を行う」と呼びかけ、細野環境大臣は、「環廃対発第120316001号」で知事、市長(政令指定都市)に、宮城県からの広域化量344万トンの受け入れを呼び掛け、その広域化量には、木屑も73万トン分入っていた。いずれも3月16日に協力要請が行われていた。
宮城県と鹿島JVが115万トン予定していた木屑が、100万トン以上もなかったことをその時点で明らかにしていれば、野田総理や細野大臣の呼び掛けは成立していなかったはずである。
なぜ1年間もそのことが伏せられていたのか?
この件も担当者に聞くと今年の5月のがれきの発生量の見直しの時に分かっていたと言うが、分かっていたのはそれ以前のはずである。
今回問題になっている宮城県の石巻ブロックの鹿島JVとの契約について、経過を振り返ると次のようになる。
2011年7月29日: 宮城県プロポーザル審査(入札の一種で技術提案型の入札)について公告−鹿島JVと大成JVが応札。この時点で審査条件として木屑115万トン処理を明示。
     9月6日:  審査の結果 鹿島JVと業務委託仮契約
     9月16日: 議会承認を経て正式に業務委託契約
業務委託契約が、技術提案書を審査のうえ、受け入れて成立しているが、技術提案書には、次の事が記載されている。
2011年10月〜2012年3月 第1段階 木屑15.6万トン処理
2012年4月〜2013年7月  第2段階 木屑99.6万トン処理
 先の宮城県の担当者は、今年7月宮城県で出した「宮城県災害廃棄物処理実行計画(第2次案)」のP46に修正内容が書かれていると釈明していたが、そこでは、確かに木屑の量が、3万3562トンと記載されていたが、それを使用した後、燃料として23万8638トン、焼却減量化分1万6150トン(減量化10分の1として約16万トンの焼却処理)の記載があり、物質収支の合わない間違った記載になっていた。木屑が100万トン以上無くなったことをこの実行計画で記載したというには程遠い内容であった。
いずれにせよ、木屑が100万トン以上無くなったというのは、超度級のニュースである。宮城県発の木屑が、無くなれば広域化そのものが無くなってしまうという影響を持つ。
宮城県が、鹿島JVに業務委託し、その進捗状況を確かめていれば、すぐに分かった木屑が無くなっているということを、宮城県は、そして環境省は、いつの時点で把握していたのか?3月までに把握していたにもかかわらず、全国広域化を呼び掛けていれば、意図的な隠ぺいとして刑事事件にもなる問題である。

4)木屑は実際にあったのか?無かったのか?
木屑がわずか1年で腐敗発酵し、100万トンが消えてしまうことは、考えられないとしたら、100万トンはどこに行ってしまったのか?
実際には、がれきの総量も34%減少しているため、それと同様の割合で減っているとしても、115万トンからその分差し引いて約70万トンの木屑は残る。その分はどこに消えたのか?
実際に木屑があったとして、なぜ環境省や宮城県は木屑を隠すのか?
環境省も宮城県も建前論としては、再生利用を第一優先するとなっていた。木屑は、選別して粉砕処理すれば、ボード材として利用でき、またストーブのチップやバイオマス発電の燃料として活用できる。その場合わずかでも値段が付けば、有価物になる。
廃棄物は、安全にかつ環境に影響を与えないようにするのに、お金がかかるため「逆有償」、つまり処理処分にお金がかかり、通常の商品ならば、商品を渡せば代わりにお金を受け取ることができるが、お金を付けて廃棄物を渡すことになる。通常の商品流通が可能な有価物とはその点が大きく違う。
今回の場合、散乱している角材や柱材を、汚れも考えながら選別機やて選別で選り分け、その上で選り分けたものを、粉砕機を使ってチップ状にする。
そこまでするのにお金がかかっているが、そのように作ったチップ状の木屑は、値段は分からないが、有価物として取引できるものになったのではと考える。
宮城県のプロポーザル審査にあたっての「要求水準書」の「副生成物等の再生利用及び処分」には、「処理に伴って本施設から発生する有価物については、受託者が可能な限り、有効利用(有価販売及び再生利用)を図るものとする」とあり、契約事項の1部として位置付けられる「質問・回答書」には、処理にあたって発生する有価物の処理については、「県の収益とし、業務委託費で精算する」と記載されている。
要するに木屑のチップや金属が、がれきの処理過程で産み出され、有価物として売却できた時には、その収益は1時的に鹿島JVに入るが、その分は発注者側の県の収益になり、業務委託費の支払いの時に精算するというのである。
実際に木屑が存在し、宮城県の“おバカな担当者”が夢想するように腐敗発酵して消えたのでなければ、しかも木屑が何万トンかは有価物として売却できているのであれば、今回の115万トンから5万トンに契約変更するのは、鹿島JVに入った収益を、県の収益とするのを見逃すことになる。
実際にどれだけの木屑があり、有価物になって売却できたものがあったのか?会計検査院への訴えを含め、事実を調べる必要がある。

5)がれきの広域化の到達点
宮城県石巻Bのがれきの鹿島JVへの業務委託契約が、今年9月に委託量が半減以下に大幅に変更された問題は、環境省が進めてきたがれきの広域化を象徴するような出来事だった。
通常一般的な事業者間の業務委託の場合や、行政機関が業務委託する場合でも委託量の変更は1〜2割が精々である。それ以上の場合は契約自体の根本的な見直しや入札のやり直しすら求められる事態になる。
今回の場合表1で見るように、
*がれきの総量、685万トンから310万トン 約55%減
*津波堆積物、292万トンから43万トン 約85%減
*処理総量、977万トンから353万トン 約64%減
*木屑、115万トンから5万トン  約97%減
となっている。
このように宮城県の石巻Bのがれき処理計画は、原型が無くなるくらいに適当に作られ、その計画に予算を付け、がれきの処理が進むにしたがって、大幅に見直しが必要になっている。震災時の混乱状況を割り引いて考えても、問題と言わざるを得ない。
実際同時期に単独でがれきの処理を進めてきた仙台市の場合、がれきの推定総量は、当初から135万トンのまま変化はなく、分別資源回収など様々な工夫を行い、予定の3年の半年前倒しに計画が終了するという。(もちろん放射性物質やアスベストの取り扱いやそのような有害物の焼却についての是非論は、国のレベルから根本的な議論が必要である。)
そして環境省発のがれきの全国広域化は、この宮城県の石巻Bの適当さ上回るような杜撰な計画だった。
@  広域化予算が成立した時には、がれきの行方は決まっていた。
週刊金曜日(11月23日号)「がれきの広域処理も復興予算の流用だ」にも書いたが、がれきの広域化問題でもう一つ大きな問題は、環境省の広域化政策自体が復興予算の流用だったという問題である。
環境省は、被災2県宮城県と岩手県で合わせて当初約400万トンのがれきの広域化が必要であると発表した。宮城県は、表2で見るようにその内9割の344万トンを占め、石巻ブロックは、過半の293万トンを占めていた。
しかし宮城県は、石巻ブロックの3市町(石巻市、東松島町、女川町)から委託を受けて受託したのは、685万トンであり、その分は表1で見るように全量鹿島JVに委託していた。
従って石巻ブロック由来の293万トンの広域化は、進めようにもがれきは無かった。もし進めようとすると県の受託量の685万トンに加え293万トン合計978万トン必要だった。
もちろん3市町の発生量自体当初計算でも、846万3千トンであり、逆立ちしても978万トンの確保は無理である。
環境省の広域化計画は、すでに行き先の決っている685万トンを2重にカウントし、293万トンあると見せかけ国家予算を付けた詐欺師が作ったような計画だった。もちろん宮城県石巻市発のがれきが、2重にカウントされ、そのまま放置すれば交付金の2重の詐取になる点について、当時県の環境部が知らないはずはない。
この件は、環境総合研究所の青山、池田、鷹取氏他大田区の奈須区議などの調査報告(環境総合研究所報告参照)や私たち北九州市市民検討委員会の調査の結果分った。そして7月には、その件を宮城県にも通知してきた。
そうした働きかけもあり、宮城県発のがれきは、木屑・可燃物については次に見るように実質収束させることになった。

A  可燃物・木屑の取り扱いについての環境省と知事通知
今年8月7日に環境省が、発表した「工程表」が閣議決定されたのに伴い、細野環境大臣からがれきの広域化にあたって協力要請が行われ、それに伴い都道府県知事から市町村への「東日本大震災に係わる災害廃棄物の広域処理について」の通知が出されている。
それは協力要請と言う形を取っているが、がれきの広域化の敗戦処理のような内容である。環境省の指示を受けた福岡県知事から飯塚市長などに充てた通知では、
「宮城県の木屑については、同県の意向を踏まえ、単純焼却ではない再生利用先に限定し、近県の処理を優先して調整することとされています。」
「(8月7日の」・・・広域処理の調整方針によりますと可燃物・木屑については、今後本県の自治体を新たな受け入れ先として調整が行われる可能性は無くなったと考えられます。」と結んでいる。
 つまり環境省が、昨年11月21日に予算化し、今年3月16日に総理大臣、環境大臣共に通知したがれきの全国広域化は、その9割を占める宮城県について、今年8月7日の工程表の発表時に、収束させることを都道府県に通知していたのである。(注1)
 華々しく絆キャンペーンが行われ、広域化を含めがれきの処理に約1兆円の予算み、全国で賛否を問われたがれきの広域化問題、本来なら環境省は収束させる旨を正式に発表する必要があった。
正式に発表すれば、元々処理先が決まっていたがれきに予算をつけたことやすでにがれきの広域化にあたって使ってきた予算の問題、そしてさらに続けようとしている岩手県発のがれき広域化に影響を与えると見たのか?
 いずれにせよ思い付き的に予算を付け、絆キャンペーンで全国の自治体と住民を騒がせてきた責任はきっちりと取ってもらう必要がある。
 がれき広域化が実質敗戦処理に入っているのに、そのことを正式に発表せず、今また北九州や東京都下、そして岩手県発の広域化を進めるというのはとんでもない話である。(注2)

6)今後に向けて
処理予定していた100万トンもの木屑が、消えてなくなった。絵空ごとのような話が、震災がれきの処理に国家予算を投入している計画で語られている。あり得ない話を追いかけてくる中で、環境省の進めてきた広域化自体が、すでに行く先の決っていたがれきを、2重にカウントし、その事実を隠ぺいする利権絡みの事件だったこと再び行き着いた。
絆キャンペーンの向こうに見えてきたのは、震災がれきと原発事故を火事場泥棒よろしく立ち回ってきた役人たちの姿だった。私たちは、絆は被災地での子供たちや低線量の内部被曝と挌闘する人たちとの絆をと言ってきたが、汚染地域からの子供たちの避難と非汚染地で生産した安全な食材の供給こそが求められ、お金はそうしたことに使うべきだろう。
がれきの広域化は、国際的には禁じ手となっている放射能汚染物の拡散、焼却、希釈を進めることになる。広域化は止めろと言う全国の住民の声そして熱気があって、廃棄物問題に取り組んできた私たちも突き動かされ、低線量の内部被曝問題に取り組んできた人たちと一緒になって、がれきの広域化をもう一歩で収束させるところまで来ている。
宮城県発の広域化は、石巻ブロックの業務委託契約を、大幅削減させることができた。その結果宮城県は、がれきの処理に困っているから広域処理を受け入れてほしいと言えなくなった。受け入れ自治体もそのような説明ができず、節操のない市町村を除き、ほぼ解体状況となっている。
しかしどさくさに紛れるように北九州市と東京都下の自治体で新たな契約が行われた。これに対して宮城県の住民から住民監査請求が行われ、チェックしつつあり、受け入れ自治体でも闘いは続いている。
岩手県発のがれきは、こうした状況の中でも、埼玉県、秋田県、静岡県に運ばれ、富山県や大阪市に運ばれようとしている。
しかし環境省の広域化政策が、処理の行方の決っていたがれきを広域化計画に乗せ、利権目当てで広域化予算を組み立てていた犯罪行為だったことが分かった以上、それがたとえ宮城県発のものであったとしても、その実態を明らかにすることなく、岩手県発の物は無関係だとは言えない。
実際岩手県の広域化計画でも、2ヶ月あまりで、富山県は当初の5万トンが約1万トンに、大阪市も18万トンから3.6万トンに、静岡では、7.7万トンが、2.2万トンに計画削減されている。計画がいかに適当だったかは宮城県にも負けないレベルだ。
 予定していた木屑100万トンはどうなったのか?検証する中で、広域化の行く先が見えてきたようだ。

注1: がれきの広域化は、被災3県のがれきの発生総量が、約2250万トン。全国の市町村が1年間で処理する一般廃棄物5000万トンの約半分に当たる。膨大ながれきを全国の市町村の余剰となっている焼却炉で、木屑を中心とした可燃物を燃やせないかと発案された。
 環境省の試算では、広域化必要量は約400万トン、その内9割を占める宮城県発のがれきは、344万トン(表2)と発表されてきた。コンクリートやアスファルトなどの不燃物は、地盤沈下した基盤の作成にも活用できる。広域化の必要はないという声もあり、広域化の対象は木屑・可燃物に絞られ、その行方が問題の焦点となっていた。
 その宮城県の広域化予定量の約8割を占める石巻ブロックでの地元処理で予定していた木屑がほとんどなくなったというのだから、宮城県発のがれきの広域化は終わったというのは当然の成り行きである。

注2)広域化が実質潰れ状態になっている中で、環境省や宮城県が言い訳に使っているのは、県内、県外処理と言う言い方である。広域化=県外処理と言う言い方に代え、民間施設を使っての広域化はいくつか実績を残しているという言い方で、全国の自治体の廃棄物処理施設を使って広域化するのはほとんど失敗に終わったことを覆い隠そうとする方法である。
環境省が国共々進めてきたいわゆる「がれきの広域化」は、全国の市町村の廃棄物処理施設(焼却炉・埋め立て処分場)を使ってがれきの処理を計るというものであり、これらは、受け入れ側の自治体の了解を取る必要があり、説明会などが開かれた。その意味で住民や市民にとって公になり、自分たちの声を出すことができた。その結果が今回の宮城県発の収束宣言である。
一方今回の場合でも産業廃棄物系のものは、独自のルートで処理処分されている。その実態の解明とそれによる有害物の汚染の拡散を阻止する問題は、私たちにとっての次の課題である。

 

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