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zoom RSS 島田市のがれき受け入れの実態  環境ジャーナリスト 青木泰

<<   作成日時 : 2012/04/08 20:07   >>

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―連続講演会報告その2―
島田市のがれき受け入れの実態
         2012年3月23日 環境ジャーナリスト 青木泰

受け入れ発表と脚光を浴びた試験焼却
3がつ16日の夜がれき受け入れ問題で一躍注目されている静岡県に入って翌日の学習会に備えた。同日付の新聞によれば、島田市では3月15日、議会でがれき受け入れに賛成し、島田市長は受け入れを正式表明したという。

中日新聞では、「島田市―がれき月末めど着手」と1面トップで掲げ、関連3面を使い全面がれき受け入れ決定を称賛するような記事で満たしていた。(関連会社の東京新聞とは、報道姿勢が異なるのか?)
ごみ焼却施設周辺の「伊太区自治会も市に受け入れを容認する文書を提出した。」とも報道している。朝日新聞では「同施設がある伊太地区の佐藤博海自治会長は、同日午前、がれきの処理に協力すると同市に報告『試験焼却のデータを精査し、問題ないことを確認させていただいた』」と報じ、自治会がどこまで自治会員の了解を取って事を進めたのかについては、含みを残す報道を行っている。

中日新聞は、1面の解説で「島田モデル広がりに注目」と「東日本大震災からの復興の足かせとなっている大量のがれき。島田市が(岩手県)大槌、山田両町のがれきを本格的に受け入れると表明したことで、国が推進する広域処理化に弾みがつく可能性もある。」とがれき受け入れが復興につながるという認識を前面に出している。
しかも肝心の安全性の問題の検証は「試験焼却」でクリアーしたと文面上は済ませ、住民の声は根拠がない不安感として、次のように取り扱っている。「しかし最終処分場周辺の住民や母親ら不安を抱える市民がなおいるのも事実だ。市は一層の粘り強い説明が求められる。」不安感のバックにある安全性についての大問題に耳を傾けず、市が説明すれば事足れりとしている。
そして「桜井勝郎市長は、会見で『ぜひ島田市の取り組みやデータを生かしてほしい』と訴えた。島田市をモデルに支援の輪が広がるか注目される。(土屋祐二)」と結び、がれきの処理と島田市の受け入れに対し、称賛する記事としてまとめている。

神奈川県の場合も、政令三市(横浜、川崎、相模原)ががれきの中間処理について、引き受けると表明したものの、焼却灰を埋め立てる横須賀市の芦名最終処分場周辺の自治会,大楠連合会が反対表明をしたことが切っ掛けで、黒岩知事は受け入れ断念を表明した。
島田市の場合も、中日新聞が、がれき受け入れは3月にも出発すると報じているが、島田市自体も、がれき焼却後の焼却灰の最終処分場に目途を付けたわけではない。

不合格がない試験焼却の問題
ところで中日新聞では、試験焼却によって安全性が担保されたような記載になっているが、試験焼却は、そもそも次のような問題点を持っている。
@  不合格の基準がない試験焼却
我々は、「試験」と聞くと、身が引き締まる思いがする。確かに「試験」と名の付くものを振り返ると、入試試験や各種の資格試験では、合格基準や合格枠が示され、試験によって合否が決定する。客観的に見て公平かつ公正に行われるのが、「試験」である。その試験を受けたものにとって、結果が出るまで、悩ましい時間が経過する。
したがって「試験」と名が付いていると、公平、公正に行われ、「試験焼却」もそのように行われていると考えがちである。
しかし通常の「試験」と大きく違うのは、あらかじめ、不合格の基準が示されることはなく、今回のがれきの受け入れに当たって、「試験焼却」で不合格、不採用になったという話は聞かない。問題があっても再試験させたり、裏口入学させるような仕組みになっている。
 これでは試験焼却ではなく、実態に合わせて「実施のための焼却実験」「実施のためのパフォーマンス実験」とでも名称を変えたほうがよい。
 気骨のある記者ならせめて、どのようなデータが出た時には実施しないのか?問うてもらいたい。
A 「不検出」は、「0」(=ゼロ)ではない。
本来の意味での試験焼却ならば、もちろん問われるのは、煙突から放射性物質が排出されていないかということである。
この点を考えるとき、行政側の仕掛けは、「検出限界値」の設定にある。検出限界値は、一般的には測定器や測定方法によって決まり、その値以下は「不検出」として扱う約束事である。そのため検出限界値以下の微量な放射性物質は、「検出されない」ことになる。簡単に言うと検出下限値を大きくとれば、ほとんどが「不検出」となってしまう。
島田市の場合、検出限界値は、0.3〜0.4Bq/m3Nであり、焼却炉の排ガス流量は毎時約2万m3になるため、「不検出」の場合でも、1日、1炉稼動で、約15万Bqの放射性物質を放出する計算となる。この量は、バグフィルターで捕捉された飛灰中のセシウム量の約3割もの量となる。
つまりバグフィルターで70%前後しか放射性物質が捕捉されていなくとも、煙突の煙には、「不検出」となってしまう。このような「試験焼却」実験で「不検出」だったから安全だというのは、まったくのお門違いである。島田市は試験焼却で安全を確認したどころか、煙突から大量に放射性物質を放出していた可能性が高いことが分かった。
島田市は、がれきを試験焼却した焼却灰を市役所に置き、測定機に関知しないことを持って安全だと宣言したという。これもまったく子供だましである。10cm角ぐらいで、重さが1kgで、6000Bqの標準検体でも1mはなれると、測定器にほとんど関知しない。そうしたことを分かっていて、焼却灰を置き、市民に測定させて、測定器が反応しないことで、安心させる。事実を分かって試させた市は、詐欺師と言われてもしようがない。
このような試験焼却を最大級の賛辞でもてはやすメディアも罪が深い。

B 島田市は、年間5000トン、これを3年間にわたって、引き受けるということだが、2月には、周辺自治会のメンバー60名を連れて、岩手県の山田町の視察に出かけている。目の前のがれきの山に測定器をあて、放射線の濃度が低レベルだと同メンバーを納得させているが、これも子供だましだ。それだけの費用を出すのなら、運び込まれるがれきの全体を公平な専門家に依頼して、調査すべきである。

最終処分場の排水土壌から300Bq/kgのセシウム検出
島田市のがれきの受け入れの問題は、焼却炉を巡る問題だけでなく、最終処分場にも問題があることが、地質学会の大石貞夫氏の調査で分かり、3月14日「安心して暮らせる島田をつくる市民の会」の静岡県庁での記者会見で発表されました。
地質学会は、放射能測定も取り扱うため、大石氏は、放射能測定の専門家であると言える。大石氏はほとんど常時測定器を持ち歩き海岸部、河川、農地、市街地などの放射線量を測定している。大井川の河川敷を測定していたところ「非汚染地」の島田市としては、最大の0.09マイクロシーベルトが検出されたという。その場所は、最終処分場の浸出水の処理水が、大井川に放流される場所だった。
そこで浸出水を処理する処理施設から排出される放流水が流れ出すプールの土壌を測定したところ、セシウム137の値で、300Bq/kgを超えていた。
環境省は、これまでは、セシウムでいうと100Bq/kg以下は、一般廃棄物として取り扱い、それを超えたものは、放射性物質として取り扱ってきた。国際基準に基づく、取り扱いであった。ところが1月に施行した放射性物質対処特別措置法では、8000Bq/kgに新たな基準を設け、それを以上のものは放射性物質とし、以下は一般廃棄物として埋めて処分してよいとした。
原則も、今後の安全性も無視した法令上の措置と言えるが、その結果、原発施設や医療や研究施設から排気されるものについては100Bq/kgを使い、放射能汚染災害廃棄物については、8000Bq/kgを使う、全くのダブルスタンダードとなっている。(この点については、関西連合や愛知県知事の環境省への質問書でも尋ねられている。)

その場合でも、再生品については、100Bq/kg以下であることを条件として示した。人が出入りし、日常的に使用したり、接触するものについては、100Bq/kg以下を基準としたのである。
ところが今回の調査では、埋め立て処分場の浸出水の処理装置からの放流水が流される一般環境への出口で100Bq/kg基準の3倍の放射性セシウムが検出されたのである。がれきの受け入れ前に、基準の3倍もの放射性物質が処分場外に放出されていたのはなぜか?この点は、島田市自身がれきの受け入れ前に調査してゆくことが求められる。
 
埋め立て処分場の排水土壌から、基準値の3倍もの放射性セシウムが検出されたというのは、処分場の浸出水処理装置が、放射性物質の除去を成しえなかった証として、改めて廃棄物の埋め立て処分場は、放射性物質の除去処理ができないことを教えてくれた。
放射性物質を埋め立て処分場に埋め立てる際に、30cmの厚さに土壌を覆土し、被せる等の指示が、環境省から出されている。埋め立てた放射性物質からの放射線の影響を避けることが目的である。しかし降った雨は、土壌に浸みこみ、その過程でセシウムを溶かし、浸出水は、処分場の底に敷かれたビニールシートを伝って、浸出水処理施設に運ばれる。
埋めて処分場に覆土することを指示しながら、雨水が土壌にしみこみ、セシウムを含む浸出水となって、結局環境中に放流されていく点を見逃していっるのは、全く頭隠して尻隠さずのたとえのようである。
島田市の処分場からの排水は、大井川に流れ今後、漁場や周辺地下水などにどのような影響を与えることになるのか心配である。
放射性物質を埋め立てる処分場は、今後島田市と同じ問題を抱えることになるが、その意味で今回の大石貞夫氏の調査研究は、特筆される。

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