青木泰のブログ

アクセスカウンタ

zoom RSS 仙台市のがれき自前処理の状況

<<   作成日時 : 2012/02/06 13:06   >>

ナイス ブログ気持玉 27 / トラックバック 0 / コメント 0

仙台市のがれき自前処理の状況
 
 仙台方式についての見解が改めて話題になっています。この件を私が知った後、週刊金曜日(12月9日号)に報告し(添付)、今年になって1月10日の静岡市の講演の後、地域誌「スローライフ」が取り上げ(添付)脱原発国際会議では、新神奈川新聞も取材の翌日取り上げ、そしてNHKもこの件を追跡取材することを約束しました。

 週刊金曜日の記事が、きっかけになって、東京新聞の取材も入り、1月21日の「こちら特報部」の記事につながりました。

 石原都知事に代表される様に、「復興のためにがれき処理は不可欠。」「がれきを受け入れなければ復興ができない」という世論が一般的な中、ジャーナリズム感覚を持ったメディア的にも、大変注目される仙台市の取り組みでした。

 仙台方式に独自の見解を示された辻さんのようなご意見は、珍しく貴重なご意見として私の意見を下記に書きました。



 私が仙台方式について知ったのは、昨年の廃棄物資源循環学会(11月3日〜5日)の企画部門での講演会「地震列島日本の『災害廃棄物処理計画』−過去から未来への伝えるべきこと(1)」です。午前中いっぱい使った講演発表会は、素晴らしいものでした。(別途添付のPDF)阪神淡路のがれき処理の経験者である神戸市の職員笠原敏夫氏、仙台市の震災廃棄物対策室の遠藤守也氏、そして民間のコンサルタントの報告でした。

 被災地の現場は、津波で根こそぎ持って行かれ、ほとんど何もない状態です。がれきがどれだけ排出されるのか。その推定と計算の作業を行うことが最初の仕事です。仙台市の4〜5年分の135万トン。その推定を学者の知見を参考にしながら行い、がれき処理の大きなデッサンを作るために、阪神淡路の経験を学ぶ。そして長くごみ問題に取り組んできた京都大学の浅利美鈴助教の助けを得ながら、災害廃棄物の分別・資源化、危険物・有害物の除去を測る仕組みを実施する。(別途送付の添付PDF)

 仙台市のがれきの処理は、ごみ問題の処理の基本に沿って、排出源での分別に心がけ、国の方針では、宮城・岩手県は広域化=全国化を進めるとされていたのを、地元で独自に目途を付けたのです。その実践力に拍手です。

 遠藤氏は“環境部の最終処分場”と呼ばれているそうで、解決できない問題が持ち上がると遠藤さんに相談に来るということでした。そうした普段からの活動ぶりが、がれき処理に当たって、さまざまなところから協力を得ることができる原動力になったのだと思います。

 彼の講演を聞いていて土木建設関係の設計ができる職員の応援を得た。そのことも実現できた要因だったと強調していたのが、印象に残りました。環境部や廃棄物関連だけでは、仮設置き場を建設する工事準備(例えば搬入車両の進入路、置き場の配置設計など)が行えないことは、一目瞭然です。

 元々自治体の職員は、文科系であり、設計や企画の専門職がいる場合でも、民間の事業者の助けを得なければ、構想を実現することはできません。自治体と民間を結ぶツールの一つが図面です。その点を踏まえた人材集めを行った。

 そして阪神淡路の経験を聞くことができたとしても、阪神淡路とは違い、倒壊のほとんどは、津波によるもので、こうした震災がれきの処理は、一つ一つが白紙に絵を書くような難しさがあります。報告の端々からさまざまな工夫を行ってきたことが伝わってきました。


 たとえば仙台市は、がれきの処理体制として、

1. 不明者捜索に係わるがれき類の撤去(人命隊)

2. 浸水地域の家財類の撤去(濡れごみ隊)

3. 道路啓開がれき類の撤去(道路隊)

4. 被災車両の撤去(車両隊)

5. 流失家屋の撤去(がれき隊)

6. 損壊家屋の解体・撤去(解体隊)
 ・・・・・・

 というように処理体制を作り、2013年度末には、片づける目途を付けました。

 被災地のがれき処理という大変深刻な作業であるにもかかわらず、楽しく一生懸命に取り組んできたことが伝わってくる内容でした。

 仙台市が市単独ではなく、民間の事業者の協力も得、国も県も実現できなかったことを、多くの協力をつなぎ合わせて、実現してきたことは事実です。その際、委託を使ったか、職員だけでやったかなどは、労働組合的には大事かもしれませんが、はっきり言って瑣末な事です。広域化の流れの中で、自前・地元で実現した事実が大事だと思います。

 週刊金曜日にも書きましたが、まだ山積にされているがれきを持つ市町村があることは、事実です。私はがれきの処理方針としてこの仙台モデルを活用して全国への広域化ではなく、地元・自前の処理が最善と考えています。そしてその時にこそ全国の「力のある自治体」が、「人」「知恵」「技術」「機材」「金」などで支援する体制を作るべきと思います。

 仙台モデルがそのまま合わないケースもあると思います。しかしわれわれが行う仕事で考えれば、そうした新たな課題があってこそ、汗を流す甲斐があると思います。

 静岡の島田市の講演会の後の座談会で、「がれきの受け入れに反対すると、復興支援に反対するのかとつまはじきにされる地元の状況がある」ことを聞きました。

 そうした時、がれきの処理は被災地でもできる。放射能汚染ごみや、有害ごみの混入、拡散を避けるためにも地元での分別処理が、まず大切だということ。その第1歩を開いてくれた仙台市方式は、島田市のような実践的な格闘を行っている場所にとっては、勇気を与えてくれる貴重な実践例だと考えます。

 がれきは地方で受け入れでなく、仙台方式を広めるために、「人」「知恵」「技術」「物=機材」「金」の支援を。
 

 追)企画部門での講演会だけでなく、廃棄物資源循環学会の全体シンポジウムでも遠藤さんや浅利さんらの取り組みが報告、紹介されました。それにしても震災列島日本で、さまざまな震災や風水害がある中で、国は何をしていたのかと思います。これまでの災害復旧は、市町村や県のレベルでの経験蓄積に終わっている。阪神淡路の震災後のがれきの対策のノウハウは、国家レベルで継承されていない。大きな災害は、何十年単位で来るため、同様の災害が起きたときには、県レベルでも経験した職員すらいなくなっていることが一般的でしょう。

 仙台市は、笠原さんら阪神淡路の経験を直接学んだが、国に過去の災害、その復旧の経験蓄積がなかったことから生まれた工夫だったといえる。本来なら国に緊急災害特別隊―企画作戦部門等を設け、全国各地の経験を引っさげ、地元の自治体とのがれきやー復興支援に入る。そうしたことが必要だろう。

 企画部門の講演会が終わったときに、遠藤さんらにしばらくこの経験を生かし、仙台方式で他の市町村のがれき処理に、汗を流してもらえないかと話したが、国のレベルでもこの貴重な経験を財産にし、今残るがれきの処理に取り組むべきだと私は考える。その経験蓄積が、今うわさされている首都圏直下型の震災にも生かされてゆくことになる。

なお関連する仙台市の情報(PDF)は、以下をクリック。


PDFのダウンロード

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 27
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた
面白い 面白い
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
かわいい かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
仙台市のがれき自前処理の状況 青木泰のブログ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる